著者
長屋 慶 伊藤 洋介 吉田 明子
出版者
一般社団法人 日本心臓血管麻酔学会
雑誌
Cardiovascular Anesthesia (ISSN:13429132)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.37-44, 2018-08-01 (Released:2018-10-10)
参考文献数
15

心臓は戻ってくる以上の血液を拍出することはできない。従って静脈還流の機序を理解することは重要である。 静脈のコンプライアンスは動脈の約30倍と非常に高い。総血液量のうち約70%が静脈系に局在し,血液のリザーバーとして機能している。なかでも内臓の静脈のコンプライアンスは高く,また総血液量の20%と容量も多い。さらに密にアドレナリンα受容体が分布し血液量の変化に対して静脈還流を調節する重要な役割を果たしている。 本稿ではreturn functionともいうべき静脈系の生理と静脈還流調節の機序について概説する。