著者
長島 祐二
出版者
公益社団法人日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.68, no.6, pp.920-921, 2002-11-15

フグが強力な神経毒であるテトロドトキシン(TTX)を持つことは古くから知られているが,その毒化機構については依然不明な点が多い。近年,人工飼育された養殖フグは毒性を示さないこと,無毒のフグにTTXを含む餌を与えると毒を蓄積すること,一方フグ以外の魚では毒が蓄積されないことが明らかにされた。これらのことから,フグには毒を蓄積する特別な働きがあることが予想され,毒と生体内高分子成分の結合を示唆する報告もある。本項ではフグの毒蓄積機構解明に資するため,各種魚類の肝組織切片を用いてin vitroでのTTX蓄積ならびに排出実験を行った。