著者
柏原 直樹 長洲 一 佐藤 稔
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.106, no.7, pp.1473-1480, 2017-07-10 (Released:2018-07-10)
参考文献数
10

慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)の病態形成には,防御機構を凌駕する活性酸素種産生,すなわち「酸化ストレス」が深く関与している.また,酸化ストレスの亢進には鏡像的変化として,一酸化窒素の生物学的利用能(bioavailability)低下が付随している.このROS/NOの不均衡は,腎臓病の進展のみならず,心血管病の発症機序にも関与している.一方,虚血と酸化ストレスは共存するのが通例であり,また,病因的にも双方向性の関係を有している.虚血の解除は酸化ストレス軽減をもたらし,病態改善につながる.