著者
長濱 章雄
出版者
学校法人順正学園 九州保健福祉大学大学院社会福祉学研究科
雑誌
最新社会福祉学研究 (ISSN:18809545)
巻号頁・発行日
no.1515, pp.15-24, 2021-03-31

本研究における障害者支援施設でのセレクトメニューの取り組みは,利用者への食事の楽しみとともに基本的な生活における自己決定の機会として提供されている.メニューを選択する際に,知的障害者の自己決定はどのように実施されているのかを,メニューの聞き取りを行っている担当者に対しアンケート調査を実施した.その結果,知的の障害が重くなるほど,能力的に自己決定が難しくなる傾向と共に,支援者から見た能力にばらつきがでることが確認された.最重度知的障害者自身による自己決定の困難さを支えるためには,支援者間における能力評価の共通性と,自己決定に至るまでの意思決定支援に配慮する必要性の高さが示唆された.併せて自己決定された自己には,どの程度支援者の影響を受けているのかを検証することが今後の研究課題とされた.