著者
近藤 祐一郎 長瀬 公秀 青木 弘行 宮崎 清
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.45-52, 1998-09-30
被引用文献数
1

青森県稲垣村をケーススタディとして, 籾殻燻炭を用いた生活排水路の水質浄化実験を行った。実験は中期測定(朝8時と夕4時の1日2回, 10日間連続して測定)と, 短期測定(朝6時から夜10時まで2時間毎に測定)を行った。そして, 籾殻燻炭を設置した上流と下流の水質に対して, 水素イオン指数, 導電率, 濁度, 溶存酸素, 水温, 水深, 流速を測定した。実験の結果, 以下の知見を得た。1)籾殻燻炭を通過した排水は, 魚類が繁殖可能な値まで水素イオン指数が上昇し, 稲が生長可能な値まで溶存酸素が増加することを確認した。 2)籾殻燻炭を設置した区間内で, 従来まで確認することのできなかった水棲生物を確認した。これは, 指標生物学的に排水路の水質が浄化されたと判断することができる。 3)水質浄化活動を住民が目に見える形で行うことによって, 環境美化に発展することを確認した。