著者
近藤 祐一郎 青木 弘行 宮崎 清
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.37-44, 1998-09-30 (Released:2017-07-21)
参考文献数
26
被引用文献数
2

本研究は籾殻の炭化法を変化させることによって得られる性状の変化を確認し, それに基づいて稲作農村地域における水質浄化材などへの有効利活用法について探求したものである。実験では, 熱重量測定実験, 比表面積測定実験, 細孔分布測定実験を行い, 以下の知見を得た。1)籾殻燻炭は, 活性炭と比較して炭素分は少ない反面, 灰分(ミネラル分)は多い。しかし, 稲作農村地域では排水処理材の他にもさまざまな応用・展開が可能であり, 十分に利用価値のある資源である。 2)野焼き法で製造した籾殻燻炭は単位価格あたりに対する比表面積が高く, 活性炭や木炭と比べて経済的である。 3)被吸着物質に応じた細孔径を有する籾殻燻炭を, 炭化条件を変化させることにより製造することができる。 4)稲作農村地域では生活雑排水が水質汚染源であり, 野焼き法と320℃, 520℃で炭化した3種類の籾殻の併用が最も効果的である。
著者
近藤 祐一郎 長瀬 公秀 青木 弘行 宮崎 清
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.45-52, 1998-09-30
被引用文献数
1

青森県稲垣村をケーススタディとして, 籾殻燻炭を用いた生活排水路の水質浄化実験を行った。実験は中期測定(朝8時と夕4時の1日2回, 10日間連続して測定)と, 短期測定(朝6時から夜10時まで2時間毎に測定)を行った。そして, 籾殻燻炭を設置した上流と下流の水質に対して, 水素イオン指数, 導電率, 濁度, 溶存酸素, 水温, 水深, 流速を測定した。実験の結果, 以下の知見を得た。1)籾殻燻炭を通過した排水は, 魚類が繁殖可能な値まで水素イオン指数が上昇し, 稲が生長可能な値まで溶存酸素が増加することを確認した。 2)籾殻燻炭を設置した区間内で, 従来まで確認することのできなかった水棲生物を確認した。これは, 指標生物学的に排水路の水質が浄化されたと判断することができる。 3)水質浄化活動を住民が目に見える形で行うことによって, 環境美化に発展することを確認した。