著者
長瀬 睦美 澤田 愛子
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.4_17-4_28, 2009

本研究の目的は,喉頭全摘出術を受けて失声した患者が代替コミュニケーション手段を獲得する過程を,彼らの体験や思いに焦点をあてて明らかにし,彼らへの看護的支援の示唆をえることを目的とした。データの収集は半構成的インタビューで行った。研究対象は喉頭ガン・下咽頭ガン等の治療のために喉頭全摘出術を受けて失声した在宅療養中の6名であった。データは質的研究手法により分析した。結果,3つのメインカテゴリーと9つのカテゴリー,31のサブカテゴリーを抽出した。喉頭摘出者は,失声によって様々な体験や思いを余儀なくされているが,彼らを取り巻くサポートは十分であるとはいえないのが現状である。今後は,発声会の役割を充実させ,家族,そして医療関係者との連携を強化し,社会的なサポートシステムを確立していくことが重要であり,看護師等の医療関係者の一層の介入が望まれる。