著者
長谷中 崇志 高瀬 慎二
出版者
名古屋柳城短期大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:13427997)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.101-108, 2014-12-20

本研究では、地域福祉計画の評価指標の開発にむけた基礎的分析として、A市における調査データを基に、ソーシャル・キャピタルと社会経済的地位(所得・学歴)を取り上げ、それらと身体的・精神的健康度や幸福度との関連を明らかにすることを目的とする。今回の分析では、健康の指標として、国内外の多くの先行研究において生命予後や日常生活動作能力(ADL)予後の予測妥当性が示されている「主観的健康感」に焦点をあてて検証した。その結果、以下の3点の知見が得られた。(1)ソーシャル・キャピタルの構成要素である「信頼」が健康と関連していること。(2)所得が多いほど、幸福感が高く、主観的な健康度も高く評定される傾向にあり、所得の格差が個人の幸福感や主観的な健康感にも影響している可能性が示唆されたこと。(3)学歴が長くなるほど、主観的な健康度は高くなるが、精神的疲労・ストレスも高くなる傾向にあること。