著者
長谷川 爽 栁川 由布子 關 奏 赤松 利恵
出版者
日本健康教育学会
雑誌
日本健康教育学会誌 (ISSN:13402560)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.123-132, 2018-05-31 (Released:2018-05-31)
参考文献数
22

目的:男女及び発達段階別に小学生の過体重に関連する生活習慣を特定すること.方法:2015年6月に福島県教育委員会が実施した「食生活に関するアンケート」のデータを用いて,横断的自己記入式質問紙調査を行った.対象者は福島県内の公立小学校19校に通う3・5年生2,369人であった.χ2検定を用いて,体格,生活習慣を男女及び学年別(中学年・高学年)に比較した.その後,過体重に関連する生活習慣のオッズ比と95%信頼区間を求めるために,従属変数を体格,独立変数を生活習慣とし,地域を調整したロジスティック回帰分析を行った.結果:3年生1,011人,5年生1,157人,計2,168人(有効回答率91.5%)を解析対象とした.過体重の割合は,3年生に比べ5年生に多く(各々22.3%,26.7%,p=0.016),5年生では,女子に比べ男子に多かった(各々23.8%,29.4%,p=0.032).過体重と正の関連が認められた生活習慣は,男女別にみると,男子では食べる速さが速いこと,女子では朝食の頻度が低いことだった.学年別にみると,3年生では朝食の頻度が低いこと,5年生では食べる速さが速いこと,体育以外の運動の頻度が低いことだった.加えて5年生の女子では,夕食から就寝までの時間が長いことだった.結論:小学生の過体重に関連する生活習慣は男女及び発達段階で異なっていた.男子では食べる速さ,女子では朝食の頻度,3年生では朝食の頻度,5年生では食べる速さ,体育以外の運動の頻度が過体重に関連していた.