著者
長谷川 真二 松隈 英樹 松尾 哲 高橋 稔 川村 実 土田 弘基
出版者
社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析療法学会雑誌 (ISSN:09115889)
巻号頁・発行日
vol.24, no.6, pp.731-733, 1991-06-28 (Released:2010-03-16)
参考文献数
9

今回我々は維持透析患者に悪性症候群が合併した稀な1例を経験したので報告する.糖尿病性腎症により維持血液透析中の42歳男性が, 高熱と, 眼振, 手足の振戦, 幻覚幻聴により入院した. 血液検資の結果, GOT459IU/l, LDH 1,669IU/l, CPK 529IU/l, aldolase13.3mU/ml, myoglobin 3,200ng/mlと異常を認め, 著明な低酸素血症 (PO227.1mmHg, PCO242.8mmHg) を合併していた. 患者は, 制吐剤として頻用される塩酸メトクロプラミド (metoclopramide hydrochloride: 30mg/日) を5か月間内服していた. また発熱, 自律神経症状・錐体外路症状・意識障害の症状より悪性症候群 (syndrome malin) と診断した.このため薬物の中止と臨時に血液透析を行い症状は改善し, 良好な経過を示した.