著者
山﨑 裕司 長谷川 輝美
出版者
学校法人高知学園 高知リハビリテーション学院
雑誌
高知リハビリテーション学院紀要 (ISSN:13455648)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.7-12, 2004-03-31 (Released:2018-08-30)
参考文献数
13

本研究では理学療法に対するコンプライアンスが不良であった患者に対して応用行動分析学的介入を行い,その効果について検討した.対象は長期臥床後に著しい廃用性変化を呈した虚弱高齢患者である.介入前,患者の理学療法への参加率は50%前後であった.介入では,まず筋力増強訓練,座位訓練行動を定着させるために先行刺激として明確な事実の教示とポジティブルールを設定した.後続刺激としては,嫌悪刺激の除去と正の強化刺激の整備を実施した.介入後,理学療法への参加率はすみやかに100%となった.8週間の介入によって著しい筋力・歩行能力の改善を認め,筋肉痛や膝関節痛の出現にもかかわらず,理学療法への参加行動は維持された.以上のことから,本症例に対する応用行動分析学的介入は理学療法への参加行動を定着させる上で有効なものと考えられた.