著者
長谷美 達雄
出版者
The Japanese Society of Snow and Ice
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.33-43, 1991-03-29 (Released:2010-02-05)
参考文献数
14
被引用文献数
2 12

日本の主な気象官署の天気と気温の記録から,固体降水の発生確率と地上気温の関係を,季節風型および低気圧型天気図時の降水に分けて調べた.その結果,発生確率と地上気温の関係は地域性が大きいことがわかった.例えば同じ発生確率に対する地上気温は標高(H:m)とともに低くなり,発生確率が50%となる地上気温(T50:℃)で代表するとその傾向は次の式で表わされる. (季節風型) T50=4.0-0.44・1n(H) (低気圧型) T50=2.2-0.21・1n(H) T50が標高とともに低くなる理由として降雪粒子が標高が高いほど小さいことが考えられた.また,T50が季節風型と低気圧型で違う理由として,上層大気の熱量の違い等が示唆された.この結果を利用して,降水が雪になるか雨になるかの判別予測,降雪量,降水のうち着雪に寄与する降水量,あるいは積雪として残る量の推定が地域性を反映してより精度よく行なえるであろう.
著者
長谷美 達雄 馬場 邦彦
出版者
The Japanese Society of Snow and Ice
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.119-126, 1994-06-15 (Released:2009-08-07)
参考文献数
12
被引用文献数
1 1

関東地方では,南岸低気圧の通過の際に低気圧による暖かな東寄りの気流とこれとは相対的に冷たい北西部からの気流との間に局地前線が形成される.発達した低気圧の場合には東寄りの気流が強く内陸深くまでおよび,はじめ房総半島に見られた局地前線は内陸に進行する.一方,地上付近の北西風は関東西部の山地と前線との間に収束される.前線の西側で湿雪が降り,送電線着雪の発達条件となる.過去の大きな着雪事故はこの地域内で発生している.この地域性は関東の地形に起因し,また低気圧による局地的な前線と関連が深いと考えられるので,局地的な前線の成因と着雪発生との関わりについて考察した.