著者
長谷部 慶章 中村 真理
出版者
一般社団法人 日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.267-277, 2005-11-30 (Released:2017-07-28)

本研究は知的障害施設職員のバーンアウト傾向とその関連要因を明らかにすることを目的として、以下の尺度等を用いて調査を行った;バーンアウト尺度、属性、職場ストレッサー尺度、コーピング尺度、職場内指導・支援尺度。その結果、知的障害施設職員(η=997)のMBI得点から、彼らのバーンアウト傾向は他のヒューマンサービス従事者同様に高いことが示された。また、その傾向を高める要因として、属性では女性、30歳代、未婚、経験年数、労働時間の長さなどが挙げられた。職場ストレッサーでは「組織の運営管理」「職員間の関係」「多忙さ」が挙げられた。さらに、コーピングのうち「積極的な問題解決」はバーンアウト緩和要因として働いていた。スーパービジョンでは「情緒的支援」が個人的達成感を高めることが示された。以上より、職員の負担を軽減するために適正な職員配置の必要性や、施設におけるスーパービジョン提供体制の確立が求められると考えられた。