著者
山岡 祥子 中村 真理
出版者
一般社団法人 日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.93-101, 2008-07-31 (Released:2017-07-28)
被引用文献数
1 2

本研究では、HFPDD児・者をもつ父母の障害の気づきと障害認識の相違を明らかにすることを目的とし、父母80組を対象に質問紙調査を行った。その結果、診断前後とも父母の障害の気づきと障害認識に有意な違いがあった。診断前、母親は父親よりも子どもの問題に幼児期早期から気づき深刻に悩んでおり、受診に対しても能動的であった。しかし、成長に伴い問題は解消すると考える傾向は父母で相違がなかった。診断時において、告知は父母どちらにも精神的ショックを与えていたが、障害認識は父母で違いが認められた。母親の多くは肯定・否定の両面的感情をもち、障害であると認めたのに対し、父親の多くは否定的な感情のみをもち、障害を認めにくかった。診断後は父母とも1年以内に障害を認めたが、母親は父親よりも積極的に障害を理解しようとしていた。
著者
中村 真理 車谷浩一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌数理モデル化と応用(TOM) (ISSN:18827780)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.89-100, 2006-02-15
参考文献数
13

蟻は,局所的情報に基づいて行動する多数の個体間の通信によってコロニー全体で集合現象を示す社会性昆虫として知られる.本稿では初めに,蟻個体の分化とフェロモン信号の空間分布パターン形成を同時に取り扱う蟻コロニーモデルの設計手法を提唱する.この手法を用いて蟻の信号感受性を操作し,蟻個体の行動則に様々な構造を導入すると,コロニー全体の分業調整が可能になりモデルの改造が容易になる.その実例として本稿では次の2 通りのモデルを設計し,そのダイナミクスを分析・再構成する.まず1 番目の応用例として,蟻個体の道標フェロモン感受性を変えて蟻の行動則に新しいルールを順次付加し,3 種類の採餌行動モデル(非誘引・誘引・不応期モデル)を設計する.採餌行動に際し個々の蟻は探索・輸送・動員のサブタスクの1 つに従事する.蟻のサブタスク間配分を調整することにより,3 種類の採餌行動モデルは異なる採餌戦略を示す.なかでも特に蟻が信号感受性を切り替える不応期モデルは,デッドロックを回避する安定な挙動や無駄のない配分調整の結果,つねに最も高い採餌効率を示す.次に2 番目の応用例として,互いに独立な信号を用いてゴミ塚作りと採餌行動の2 つのタスクを同時に遂行する分業モデルを設計する.分業モデルの蟻の行動則では,反応拡散系としてふるまう2 つのタスクモジュールが互いに接続されている.この分業モデルは採餌効率を補償するよう両タスク間で弱い相互作用を示す.An ant colony comprised for many ants communicating by pheromone signals shows collective behavior through signal patterns formed by them. First in this paper, we devise a method for designing ant colony model, and next we apply the method to design following two types of ant colonies, introducing structures into ant's behavior rule by focusing on ant sensitivity to signals. In the first type, we modify design of three foraging models (trail, attraction and desensitization) repeatedly, changing ant sensitivity to recruit pheromone, in order to improve foraging efficiency by regulating allocation of ants to food-search, recruitment and food-carry subtasks. Out of these foraging models, the desensitization model shows the best foraging efficiency as a result of its stable behavior without deadlock and trade-off between food-search and recruitment subtasks. In the second type, we design a task-allocation model between foraging and waste-piling tasks, by coupling the two task modules using independent signals in ant's behavior rule. It shows weak interaction between the two tasks through distributions of desensitized ants in each task, which compensates for the decrease in foraging efficiency.
著者
中村 真理
出版者
関西大学国文学会
雑誌
國文學 (ISSN:03898628)
巻号頁・発行日
vol.100, pp.257-276, 2016-03-31
著者
中村 真理 高橋 涼子 坂口 俊二
出版者
社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.69, no.3, pp.185-193, 2019 (Released:2020-07-13)
参考文献数
15

【目的】日本での 「小児はり」 は250年の歴史ある鍼灸治療のひとつである。 近年の報告では、 その治療件数は減少傾向にあるとされるが、 本鍼灸院でのニーズや臨床の手応えとに乖離がある。 そこで今回、 夜泣き児83例について6年間診療録を振り返り、 治療効果を検討した。 【対象と方法】対象は、 2012年9月~2018年9月の間に、 初診時 「睡眠症状 (広義の夜泣き)」 の調査スコア1以上に記載のあった83名 (男児38名、 女児45名、 平均年齢2.2±2.8歳) とした。 治療は随証治療とし、 鍼は切皮しない大師流小児鍼と鍼を用いた。 灸は線香灸 (皮膚に近づける) を用いた。 評価は小児はり学会認定の自記式評価票を用いて、 大項目として 「睡眠症状 (広義の夜泣き)」、 その小項目として“(狭義の) 夜泣き”“寝付きが悪い”“途中覚醒”の3項目、 一晩の途中覚醒の回数、 小児はりきゅう治療に対する満足度を調査した。 評価時期は、 初診時と5回目治療前とし、 評価票のスコア・途中覚醒の回数変化を比較検討した。 解析にはWilcoxon符号付順位和検定を用い、 有意水準は5%とした。 【結果】大・小項目のスコア、 途中覚醒の回数に有意な改善がみられた。 90.4%が治療に満足と回答し、 不満はみられなかった。 【考察】小児はりきゅう治療は 「睡眠症状 (広義の夜泣き)」 の改善に有効であることが示唆された。 臨床研究が進みつつある小児はりの分野で、 その有効性・有用性のエビデンスを示すことで、 多くの保護者が安心して育児することに寄与できると考える。 【結語】4回の小児はりきゅう治療により、 大項目 「睡眠症状 (広義の夜泣き)」 と、 その小項目“(狭義の) 夜泣き”“寝付きが悪い”“途中覚醒”のスコア、 途中覚醒の回数が有意に改善した。 小児はりきゅう治療は 「睡眠症状 (広義の夜泣き)」 の症状改善に有効な治療方法であることが示唆された。
著者
岡崎 史子 中村 真理子 福島 統
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.43, no.5, pp.361-368, 2012-10-25 (Released:2014-01-09)
参考文献数
21

背景:J医科大学医学科3年生に実施している訪問看護同行実習で学生が何を学んでいるのかを明らかにする.方法:平成22年に行った本実習後に提出された実習報告書の記述を質的に分析し,実習の学びについてカテゴリーの抽出を行った.結果:コアカテゴリーとして(1)在宅医療の特徴,(2)患者,(3)家族,(4)訪問看護師,(5)チーム医療,(6)医師・医学生に対する生の声,(7)医師として大事なことが抽出された.(6)ではカテゴリーとして医師への不信感,医学生への期待の存在が抽出された.考察:本実習で医師として大切な様々な学びが得られ,特に医師への不信感,医学生への期待は訪問看護同行実習ならではの学びと思われる.
著者
杉山 英子 中沢 ひとみ 中澤 公美 渋沢 明希子 高橋 実沙登 中村 真理子 永下 祐衣 前角 みちる 松本 秀樹 石尾 さゆり 小澤 里沙 横山 伸
出版者
長野県短期大学
雑誌
長野県短期大学紀要 = Journal of Nagano Prefectural College (ISSN:02861178)
巻号頁・発行日
vol.66, pp.13-17, 2011-12

The present study investigated the stereotypes of the ideal male and female face shapes depicted in Japanese comics (manga) and their influence on body image. General trends of face shapes in male and female figures (n=1381) were analyzed in manga published during 2006-2008. In manga for female readers, both males and females have a thinner cheek-jaw silhouette, while in manga for male readers, they have a natural cheek-jaw silhouette. Moreover, compared with females’ face shapes of males depicted in all the manga categories have more variation of face shape. Interestingly, males in manga stories for adult female readers are depicted with the highest frequency of thin cheek-jaw silhouette. The meaning of the thinner cheek-jaw silhouette in manga is discussed.
著者
杉山 英子 中沢 ひとみ 中澤 公美 渋沢 明希子 高橋 実沙登 中村 真理子 永下 祐衣 前角 みちる 松本 秀樹 石尾 さゆり 小澤 里沙 横山 伸
出版者
長野県短期大学
雑誌
長野県短期大学紀要 (ISSN:02861178)
巻号頁・発行日
no.66, pp.13-17, 2011
被引用文献数
1

The present study investigated the stereotypes of the ideal male and female face shapes depicted in Japanese comics (manga) and their influence on body image. General trends of face shapes in male and female figures (n=1381) were analyzed in manga published during 2006-2008. In manga for female readers, both males and females have a thinner cheek-jaw silhouette, while in manga for male readers, they have a natural cheek-jaw silhouette. Moreover, compared with females' face shapes of males depicted in all the manga categories have more variation of face shape. Interestingly, males in manga stories for adult female readers are depicted with the highest frequency of thin cheek-jaw silhouette. The meaning of the thinner cheek-jaw silhouette in manga is discussed.
著者
山岡 祥子 中村 真理
出版者
日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.93-101, 2008-07-31
被引用文献数
1

本研究では、HFPDD児・者をもつ父母の障害の気づきと障害認識の相違を明らかにすることを目的とし、父母80組を対象に質問紙調査を行った。その結果、診断前後とも父母の障害の気づきと障害認識に有意な違いがあった。診断前、母親は父親よりも子どもの問題に幼児期早期から気づき深刻に悩んでおり、受診に対しても能動的であった。しかし、成長に伴い問題は解消すると考える傾向は父母で相違がなかった。診断時において、告知は父母どちらにも精神的ショックを与えていたが、障害認識は父母で違いが認められた。母親の多くは肯定・否定の両面的感情をもち、障害であると認めたのに対し、父親の多くは否定的な感情のみをもち、障害を認めにくかった。診断後は父母とも1年以内に障害を認めたが、母親は父親よりも積極的に障害を理解しようとしていた。
著者
佐藤 郁代 涌井 忠昭 辻下 聡馬 齋藤 英夫 中村 真理子
出版者
コ・メディカル形態機能学会
雑誌
形態・機能 (ISSN:13477145)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.10-18, 2021 (Released:2021-10-08)
参考文献数
57

有訴率女性一位、男性二位の肩こりは、慢性疼痛へ移行し、さらなる症状を生み出す。その原因の1つにスマートフォンの利用によるストレートネックがある。Z世代はスマホ世代と呼ばれるように、その使用率は高い。本研究ではZ世代を対象に、経穴刺激を組み合わせたセルフハンドマッサージを実施することによる肩こり感およびストレスの変化を明らかにすることを目的とした。その結果、肩こり感の緩和、左右僧帽筋上部筋硬度の低下および左右項部肩甲上部皮膚温の低下を認め、肩こりを緩和することが明らかとなった。さらに、血圧値および脈拍値の低下、POMS下位尺度の「怒り-敵意」「疲労-無気力」「緊張-不安」および「活気-活力」の低下を認め、ストレス緩和の一助になることが確認された。また、1日当たりのスマホ使用時間が長い者の場合、セルフハンドマッサージでは肩こりが改善されないこと、マッサージ前の左項部皮膚表面温度が高い者ほど、ハンドマッサージの効果が表れることが示唆された。
著者
中村 真理 長崎 絵美 米山 奏 坂口 俊二
出版者
社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.63, no.4, pp.252-259, 2013 (Released:2014-04-23)
参考文献数
14

【目的】月経随伴症状 (以下月経症状) は月経開始直前や月経中などに発生する不快な症状の総称である。 今回、 診療録を3年間後ろ向きに調査し、 月経症状に対する鍼灸治療効果の実態を検討した。 【方法】対象は 2009 年1月から 2012 年3月に本鍼灸院に来院した月経症状を有する初診患者 203 名とした。 鍼灸治療は本治法として中医弁証論治と、 月経症状に対する標治法 (共通穴) として次リョウ (BL 32)、 会陽 (BL 35)、 腰兪 (GV2)、 関元 (CV4)、 三陰交 (SP 6) を用いた。 40 ミリ・16 号、 ステンレス鍼を次リョウに 20㎜、 三陰交に 10㎜刺入して 10 分間置鍼した。 その他には9分灸で熱感を感じてから3壮行った。 効果判定には月経随伴症状日本語版 (Menstrual Distress Questionnaire:MDQ) を用いた。 解析は対象者を婦人科疾患有りと診断されている 46 名 (以下、 あり群) と診断されていない 157 名 (以下、 なし群) に分け、 治療前と治療開始後一月経周期 (以下治療後) における月経前・中の MDQ の8尺度得点で比較した。 さらに、 あり群では三月経周期まで追跡した。 【結果】一月経周期での治療回数は平均 2.2 回であった。 月経前は両群とも6尺度で、 月経中ではあり群で3尺度、 なし群で5尺度の得点が有意に減少した。 あり群の三月経周期にわたる継続治療による効果については、 月経前では、 「痛み」、 「水分貯留」、 「集中力」 で、 月経中では、 「痛み」、 「水分貯留」、 「行動の変化」 で有意に得点が減少した。 【結論】月経症状に対する鍼灸治療は、 短期的にはなし群で効果的であるが、 あり群でも継続治療により効果のあることが示唆された。
著者
中村 真理子 永田 智子
出版者
日本家庭科教育学会
雑誌
日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.57, 2014

【背景と目的】<br>&nbsp; 2009年告示学習指導要領における改善の基本方針,及び学習指導要領解説家庭編から,家庭科教育において&ldquo;生涯を見通す視点を明確にし,一生の中で家族や生活の営みを総合的にとらえる力&rdquo;が求められていることがわかる。<br>&nbsp; 一方,学習内容は大して減っていないにもかかわらず,必修科目の主流は2単位の「家庭基礎」であり,家庭科の授業時間は半減したといえる。そこで,学習内容の関係性を高めて一連の流れをつくり,少ない時間ながら内容の濃い授業にするために,ライフデザインを「家庭基礎」の主軸に据えることにした。ライフデザインとは多様な夢や目標を考えることで,生活設計に該当する。<br>&nbsp;&nbsp;「家庭基礎」の学習内容をライフデザインで包括するために,年度当初の単元「自分の生き方と家族(以降「導入単元」とする)」で,ライフデザインに直接関わる授業を実施し,生徒一人ひとりに「人生すごろく」を作成させる。この「人生すごろく」をベースとして,導入単元以降の授業を展開しようという計画である。<br>&nbsp; 本研究では,導入単元の効果を検証するとともに,その後の授業に生かす課題を把握するため,すなわち形成的評価のために,生徒が作成した「人生すごろく」を分析することとした。<br>【方法】<br>&nbsp; 導入単元において作らせた3クラス118人の「人生すごろく」を分析・評価した。<br>【結果と考察】<br>&nbsp; 導入単元の指導目標には「生涯発達の視点」「各ライフステージ課題の認識」「青年期の課題の理解」等があり,これらが達成されたかをみた。ほぼ全員ライフイベントを10以上あげ,分岐を設けていた。悪いこと(アクシデント)については,学生特有の留年や受験失敗等や日常起こりうる嫌なことが多かった。良いことに比べて記入が少なく,また分岐も乏しかった。人生にはどんなアクシデントが潜んでいるか,より現実的に「自分の将来」を考える必要がある。そこで「家庭基礎」のまとめの単元で,もう一度この人生すごろくを振りかえらせ,起こりうるアクシデントについて考えさせる必要がある。<br>&nbsp; ゴールは生徒に自由に設定させた。死を想定している生徒が27%,老年期を想定している生徒が48%であった。これらを合わせると75%の生徒が自分の老年期の生き方まで思いめぐらすことができたと考えられる。成人期までで終わった生徒については高齢者福祉の単元で補充する必要がある。<br>&nbsp; 青年期の課題である進学や就職はほぼ100%記入されていた。また,成人期の発達課題については,結婚が86%,「親になること」は70%の生徒が記入していた。そこで,単元目標はほぼ達成できたと考えられる。しかし,残り30%の生徒が親になることを想定できていないことが明らかになった。保育の単元で補う必要がある。<br>&nbsp; ライフイベントやすごろくのコマの設定等から,具体的に生徒の職業観・恋愛観・結婚観・家族観などを認識できた。「結婚や出産したら仕事は辞めるのが当たり前」と考える女子生徒が多かった。ジェンダー等について授業で説明したにもかかわらずこのような結果となり,性別役割分業意識の根強さが明らかとなった。<br>【まとめ】<br>&nbsp; 「人生すごろく」の分析から,導入単元の目標を達成できたことがわかった。さらに生徒の作品を詳細に分析することによって,「家庭基礎」各分野における指導に生かすための課題を把握できたことから,「人生すごろく」が形成的評価として活用できることがわかった。&nbsp;
著者
長谷部 慶章 中村 真理
出版者
一般社団法人 日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.267-277, 2005-11-30 (Released:2017-07-28)

本研究は知的障害施設職員のバーンアウト傾向とその関連要因を明らかにすることを目的として、以下の尺度等を用いて調査を行った;バーンアウト尺度、属性、職場ストレッサー尺度、コーピング尺度、職場内指導・支援尺度。その結果、知的障害施設職員(η=997)のMBI得点から、彼らのバーンアウト傾向は他のヒューマンサービス従事者同様に高いことが示された。また、その傾向を高める要因として、属性では女性、30歳代、未婚、経験年数、労働時間の長さなどが挙げられた。職場ストレッサーでは「組織の運営管理」「職員間の関係」「多忙さ」が挙げられた。さらに、コーピングのうち「積極的な問題解決」はバーンアウト緩和要因として働いていた。スーパービジョンでは「情緒的支援」が個人的達成感を高めることが示された。以上より、職員の負担を軽減するために適正な職員配置の必要性や、施設におけるスーパービジョン提供体制の確立が求められると考えられた。
著者
本田 俊介 立花 孝 西川 仁史 峯 貴文 長井 大治 船曳 久由美 小林 佐智 野村 星一 中村 真理
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.31 Suppl. No.2 (第39回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.A1025, 2004 (Released:2004-04-23)

【はじめに】 肩関節は人体最大の可動域を持つ多軸性関節であり、その動きを3次元的に捉えることは難しい。そして結帯動作について、指椎間距離という指標はあるが、その実測値は不明瞭であり、結帯動作として記述した報告が少ない。そこで今回下垂位から最大結帯位に至るまでの連続的動作の実測値を導き出し、肩甲骨の動き及び上腕骨の内旋や伸展の関連度合いを理解する事を目的として、Motion Captureを用いた3次元的動作分析を行った。【対象と方法】 健常成人男性10名(平均年齢27歳,平均身長171cm)の右肩関節を対象とした。体表指標点として、体幹に4点(第7頚椎,第7胸椎,胸骨頚切痕,剣状突起)、肩甲骨に5点(烏口突起,肩鎖関節,肩峰角,棘三角,下角)、上腕骨に3点(三角筋粗面,内・外上顆)と内・外側茎状突起に2点の計14点の反射マーカを貼付した。撮影は立位にてまず下垂位を撮影し、以降結帯動作をとってもらい、被検者の母指先端が尾骨、第5腰椎、第12胸椎、第7胸椎の位置に達した所で撮影した。その際皮膚上のマーカと実際の骨上とはずれが生じているため、各々の撮影場面でマーカを定位置に張り直した。なお、体幹側屈の代償を抑えるために反対側も同様の動きを行ってもらった。使用システムはQualisys社製ProReflex ,MCU-500で7台のCCDカメラを使用。サンプリングレートは60Hzである。そしてQToolsを用いてデータ解析を行った。【結果】 まず肩甲骨の動きについて、前傾は下方回旋と比べて序盤動きが大きいものの、最終的には16.9°で、下方回旋とほぼ同じ数値を示した。上腕骨の動きについて、まず内旋は0°から41.4°と初期に大きな動きを行う特徴を示し、最終的に47°で、肩甲骨の動きに対して1対2.8という比率を示した。伸展は下垂位-3.1°から最終的に26.7°まで変化した。外転は、最後の第12胸椎から第7胸椎の相では変化が少ないという特徴を示した。【考察】 肩甲上腕関節の運動について、まず内旋に着目すると母指先端が尾骨から第7胸椎に到達するまでに6.6°しか内旋しておらず、下垂位から母指先端が尾骨に到達するまでにほぼ最大に近い内旋を行っている事がわかった。次に外転と伸展について、この2つの運動は、臼蓋に接触した小結節を徐々に前方から下縁に向かって移動させている事に貢献しているものと思われる。また、第12胸椎から第7胸椎の相で内旋と外転は殆ど変化が無い事から、肩甲上腕関節運動の限界が示唆され、第12胸椎以降は肩甲骨運動によって行われていると思われる。肩甲骨の前傾と下方回旋については、臼蓋の関節面を前下方へ向けるためのもので、小結節の移動を行いやすくさせると同時に、見かけ上の上腕骨の内旋及び伸展を補強していると考える。
著者
田中 繁宏 垂井 彩未 黒部 優 岡本 京子 四元 美帆 中村 真理子 南 匡泰
出版者
武庫川女子大学
雑誌
武庫川女子大学紀要. 自然科学編 (ISSN:09163123)
巻号頁・発行日
vol.54, pp.5-7, 2006

We made examination between body composition and urinary growth hormone or urinary testosterone in pubertal female athletes. There was no correlation between body composition and urinary growth hormone, and there was also no correlation between body composition and urinary testosterone. There were no significant changes in growth hormone between early morning urine and at any time urine. Our results were not fully concomitant with previous studies, so further examination is needed in urine study of growth hormone or testosterone.