著者
長野 友里
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.433-437, 2012-09-30 (Released:2013-10-07)
参考文献数
7
被引用文献数
3 1

高次脳機能障害者が社会復帰する際には, 高次脳機能障害の程度だけでなく, 自身の障害にどの程度気づいているかが一つの鍵となっている。しかし, 本人の認識がどの段階であるのか, またそれはどのように測ることができるのかについては, まだ十分研究されているとは言い難い。本論では, 高次脳機能障害者の awareness (気づき) の, リハビリテーション (以下リハ) の過程や, 復帰後の家庭や職場における影響, および我々が名古屋市総合リハビリテーションセンター (以下名古屋リハ) において, 高次脳機能障害者の awareness を改善するために行っているアプローチの中から, 効果的であったものについて紹介する。また, awareness の程度を社会復帰後の受診の意味づけからとらえようとした近年の研究を紹介し, 今後の awareness 研究の一つの視点を提供したい。