著者
上田 浩 門口 礼 森 幹彦 喜多 一
雑誌
情報処理学会論文誌教育とコンピュータ(TCE) (ISSN:21884234)
巻号頁・発行日
vol.4, no.3, pp.9-20, 2018-10-30

1つの情報モラル事例を,複数の視点から見る,小学校高学年を対象とした情報モラル指導手法を提案する.手法の特徴は,(1)情報モラル事例の中心的な登場人物に加え,加害者などを含めた複数の登場人物の視点から事例を見る物語を提示すること,(2)登場人物の相関図を示し,相関図から自由に視点別の物語を選択できるようにすることの2点である.提案手法に基づき,情報モラル指導用のWeb教材「情報モラルそうかんず」を開発した.教材を構成する物語は,言葉だけでは表現が困難な登場人物の心情や行動を表現するためにマンガを利用した.本論文では,開発した教材を用いて,小学校6年生の児童を対象に授業実践を行い,開発した教材を用いた授業案が構成可能であること,提案手法から期待される効果を検証した結果を報告する.提案手法の効果として,(1)学習者が加害者の視点から新たな知見を得られること,(2)相関図から自由に物語を選択させる手法が,学習者にとって有用なコンテンツの要素となりうることが明らかとなった.