著者
門田 浩一 本橋 あずさ 佐藤 真吾 三嶋 昭二
出版者
公益社団法人 地盤工学会
雑誌
地盤工学ジャーナル (ISSN:18806341)
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, pp.253-271, 2019-08-31 (Released:2019-10-01)
参考文献数
25
被引用文献数
1

東北地方太平洋沖地震では,仙台市の盛土造成地において,多数の地すべり的変形被害が発生した。この被害は細粒分を多く混入する液状化が生じにくい盛土で発生しており,液状化に起因する盛土の変形被害とは異なる現象であった。本研究では,地すべり的変形が発生した盛土を対象として,変動部における物理・力学特性及び地下水特性を分析すると伴に,動的有効応力解析法等による再現解析を行い,その発生要因と機構について検討した。その結果,液状化が生じにくい盛土であっても,盛土内の締固め度89%以下の飽和部及び不飽和部(飽和度80%以上)では,大規模地震による繰返し載荷を受けると間隙水圧が上昇し,塑性変形が発生することを示した。また,繰返し載荷により上昇する過剰間隙水圧比は,盛土の静的な三軸圧縮試験結果より得られるせん断破壊時の過剰間隙水圧比と,同程度であることを示した。