著者
門脇 晋 尾形 敏郎 五十嵐 清美 野田 大地 井上 昭彦 池田 憲政 佐藤 尚文
出版者
北関東医学会
雑誌
北関東医学 (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.183-191, 2014-05-01 (Released:2014-06-27)
参考文献数
1

現在わが国は高齢化が急激に進むと同時に, 高齢患者が増加している. 高齢者を若年者と同様に検査・治療することで思わぬ合併症に見舞われる可能性がある. 当科では罹患前のADL, 認知症の有無, 疾患の重症度, 家族背景などを総合的に考慮した上で, 症状緩和を中心とした医療を提供し, 場合によっては看取りまで支援しており, このような概念をシルバーケアと呼称している. シルバーケアを実践した症例を通して当科の医療哲学を提示し, 超高齢化社会を迎えるにあたり, 今後のわが国の高齢者医療のあり方について提言したい.
著者
門脇 晋
出版者
北関東医学会
雑誌
北関東医学 (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.153-157, 2014-05-01 (Released:2014-06-27)
参考文献数
14

39歳男性. 20歳代で糖尿病を指摘され近医通院していた. 胆石発作のため入院. 入院時は身長175cm, 体重97kg (BMI 31.6), HbA1c 8.5% (JDS), 空腹時血糖値210mg/dlと肥満及びコントロール不良の糖尿病を認めた. 胆嚢摘出術を予定し, 江部らが提唱する糖質制限食を自宅で実践した. インスリンや経口血糖降下薬は一切使用しなかった. 2か月半後に体重88kg (BMI 28.7), HbA1c 5.6% (JDS), 空腹時血糖値108mg/dlまで改善し, 胆嚢摘出術を安全に施行できた. 本稿は外科周術期に糖質制限という概念を応用した初めての報告であり, 糖質制限は術後合併症の低下をもたらし, 医療経済的にも大きなメリットがあると考えられた.