著者
立石 欣也 山本 晴彦 岩谷 潔 土谷 安司 倉橋 孝夫 門脇 稔 金子 奈々恵
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.251-255, 2012 (Released:2012-07-15)
参考文献数
15
被引用文献数
1

ブドウ‘デラウェア’において,魚眼レンズを装着したデジタルカメラを用いたLAI推定技術を確立するため,その撮影方法と撮影条件の検討を行った.デジタル画像の2値化により,葉とそれ以外の部分に分け,そのピクセル値から光学的仮説に基づき,LAI推定値を算出した.晴天日の日中は開空度が大きく変化するため,LAI取得のための全天画像の撮影は曇天日,および,晴天日では太陽高度の低い時間帯である日の出や日没付近が望ましいことが示唆された.高さ150 cm程度の棚面に植栽された‘デラウェア’の性質上,棚面からの距離が100~150 cmの間で撮影すれば,より実測値に近いLAI推定値となることが確認されたが,LAI推定値は過大評価傾向を示した.過大評価となる原因を検討したところ,果実の有無の影響は撮影の時間帯による影響よりも小さかった.棚面,ハウスの構造材などの影響は無視できなかったため,開空度にその影響を加算し,LAI推定値を再計算する補正を行った.この補正により,従来の新梢長と葉面積の関係式から推定する手法より,迅速かつ簡易なLAI推定が可能であることが示された.