著者
門馬 栄秀 角田 重三郎
出版者
日本育種学会
雑誌
育種學雜誌 (ISSN:05363683)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.159-165, 1979-06-01
被引用文献数
9

長野県農業試験場桔梗ケ原分場(理長野県総合於業試.験場中信地方試験場)より種子を分譲されたトウモロコシの自殖系統.および単交配雑種,自然交配品種,品種問交配雑種,(第1表)を,1970年仙台にて温室で育て,第8〜9葉のC0_2取込み速度を,温室25℃,照度8万ルックス(白熱燈,25cm水フィルター)下で比較した。ヘテロ接合型(単交配,品種間交配,自然交配品種)は,ホモ接合型である自殖系統に比し,単位葉面積当たりの光合成速度(P_A)が顕著に高かったので光利用効率が高いと言える。ヘテロ接合型のP_Aが高いことには,ヘテロ接合型の単位葉面秩当たりの窒素,クロロフィル,乾物含量が比較的高いことが,ある程度は関係していると見られる(第1図)。次に,単位葉窒素当たりの光合成速度(窒素効率),単位クロロフィル当たりの速度(クロロフィル効率),単位葉乾物当たりの速度(乾物効率)は,自殖系統内,ヘテロ接合型内でみると単位葉面積当たりの窒素,クロロフィル,乾物含量が増した場合,それぞれ減少する傾向を示した(第2〜4図)。この傾向を考慮に入れて,自殖系統とヘテロ接合型とを比較すると,ヘテロ接合型の窒素,クロロフィル,乾物効率は自殖系統べ顕著に高いと言える(第2〜4図)。ヘテロ接合型の高P_Aは,ヘテロ接合型の高い窒素,クロロフィル,乾物効率によるところが大きいようである。