著者
大野 誠司 一井 麻理子 間宮 勝 大田 建久 一ノ瀬 琢美
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C-I, エレクトロニクス, I-光・波動 (ISSN:09151893)
巻号頁・発行日
vol.79, no.3, pp.81-90, 1996-03-25
参考文献数
10
被引用文献数
4

光メモリとしての応用が可能な双安定光スイッチングは光情報処理システムに不可欠な技術である. また偏光スイッチングは入力に対する反転出力と非反転出力を同時に得ることができる. これをふまえ本論文では双安定性を示すモードホッピングを有する半導体レーザ(マスタレーザ)を光源とし, 発振しきい値電流付近で定バイアス電流駆動とした別の半導体レーザ(スレーブレーザ)に対してTM偏光波注入を行う. これら二つのレーザからなる系を一つのシステムと見なしたとき, システムへの電流入力とシステムからの出力光の偏光状態の間に双安定な偏光スイッチングが実現できることを提案し, それを実験において確認した. まずこのスイッチングの原理として半導体レーザ増幅器の増幅率の注入光波長依存性, TM波注入による偏光出力の制御, モードホッピング等に関して説明し, 次いでこの原理に基づいた実験とシミュレーション結果をもとに双安定特性に関して検討した. この双安定偏光スイッチングの利点としてマスタレーザとスレーブレーザの特性に応じてON/OFF出力の差, 双安定ループの回転方向が設定可能であることを理論的, 実験的に示した. 更にスレーブレーザの多段接続が可能であることを推察した.