著者
間瀬 剛
出版者
名古屋大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

申請者はLHC加速器を用いた超前方中性粒子測定実験LHCfに参加している。LHC加速器は平成21年3月に世界最大のエネルギーである3.5TeV+3.5TeV陽子同士の衝突を成功させた。また6月には100μradの角度をつけて衝突させることにも成功している。また低エネルギーである450GeVの衝突を2009年に引き続き行った。LHCf実験は上記のすべての条件でデータ取得を行い、450GeV衝突では約5万のイベントの検出、3.5TeV衝突では約5000万イベントの検出に成功している。申請者は平成21年1月31日から平成21年7月3日まで平成21年度優秀若手研究者海外派遣事業(特別研究員)に採用され、当該期間にLHC加速器のあるCERNで研究に従事した。申請者はLHCfメンバーの一員として24時間シフトを組んで共同研究者とともにデータ取得にあたった。さらに得られたデータのキャリブレーションとして使用している2007年度に行われたSPSビーム実験の再解析を行ない、LHCf実験で得られたエネルギー決定のパラメータを新しいものに更新した。過去に行われたシミュレーションに用いられているCosmos/Epicsというコードのバージョンが古いものであったため、新しいものとはエネルギー損失等に若干の差異がでることが予想された。そこでバージョンを最新のものにして新たにシミュレーションを行い、先人とは独立した解析によって新しくパラメータを決定し、以前のものと1%程度の相違があることを確認した。また新しいバージョンでのシミュレーション結果を使用して検出器のエネルギー分解能やエネルギースケールの評価を行った。