- 著者
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佐藤 弘樹
関 公輔
- 出版者
- 公益社団法人 日本理学療法士協会 東北ブロック協議会
- 雑誌
- 東北理学療法学 (ISSN:09152180)
- 巻号頁・発行日
- vol.31, pp.89-99, 2019 (Released:2019-10-07)
- 参考文献数
- 11
【目的】 脊髄損傷完全対麻痺(L1)から,左長下肢装具と右短下肢装具を装着して歩行が自立し,集合住宅の 2 階に退院した症例を以下に報告する。【症例紹介】 20代女性。転落で受傷し A 病院に搬送。42病日に当センター転院。翌日より理学療法を開始した。当院入院時の ASIA Impairment Scale(以下,AIS)はA,Neurological Level of Injury(以下,NLI)はL1,ASIAの下肢運動スコア(以下,LEMS)はRt./Lt. = 8/0であった。この段階の予後予測において実用歩行獲得は困難と判断されたが,集合住宅への退院に必要な実用歩行,階段昇降が可能となるよう,標準的な理学療法と応用動作である四つ這い・膝立ちを重点的に行った。【結果】 両側のクラッチと右短下肢装具,左長下肢装具を用いて歩行及び階段昇降が自立し,191病日に退院。AISはA,NLIはL1,LEMSは10/3。【考察】 実用歩行獲得が困難とされたL1対麻痺患者でも,四つ這い・膝立ちを重点的に行うことで,クラッチと装具を使用して実用歩行が獲得できる可能性がある。