- 著者
-
関 智史
茂松 直之
白石 悠
深田 淳一
伊藤 公一
高見 博
- 出版者
- 日本内分泌外科学会・日本甲状腺外科学会
- 雑誌
- 日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌 (ISSN:21869545)
- 巻号頁・発行日
- vol.29, no.1, pp.50-56, 2012 (Released:2013-01-31)
- 参考文献数
- 23
放射線治療は外科手術,化学療法とならぶ悪性腫瘍の治療の一つの柱である。根治治療の他,治癒不能な進行例の場合でも緩和治療として広く用いられる。ここでは甲状腺癌や甲状腺機能亢進といった甲状腺疾患の放射線治療について述べる。甲状腺癌に対する放射線治療は,131Iを用いたアイソトープ内用療法と高エネルギー放射線治療装置を用いた外照射の二つがある。アイソトープ内用療法は,ヨード摂取能のある濾胞癌や乳頭癌に治療適応がある。術後の再発予防や,残存病変の治療,若年者の多発肺転移などに特に有効とされるが,本邦では法的規制が厳しく,実施可能施設が限られる。外照射は手術不能例や術後の高リスク例,緩和的治療に適応となるが,合併症を生じないよう照射法の工夫が必要である。甲状腺機能亢進症に対する放射線治療は,抗甲状腺薬不応例などに131Iアイソトープ内用療法が適応となるほか,甲状腺眼症の緩和目的に放射線外照射が適応となる。