著者
岡元 和文 関口 幸男 今村 浩
出版者
The Japanese Society of Intensive Care Medicine
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.10, no.3, pp.155-163, 2003-07-01 (Released:2009-03-27)
参考文献数
45

急性呼吸不全に対する“最良のPEEP (positive end-expiratory pressure)”については議論が多い。臨床現場ではその使用に際して混乱している。PEEPに関する歴史を再検討しながら,PEEPの呼吸および循環への影響,肺サーファクタントとサイトカインへの影響,肺形態への影響(肺虚脱の機序とPEEP,圧-容量曲線とPEEP)を解説した。最良のPEEPを探すために,minimal PEEP,酸素運搬量を最大に保つPEEP,人工呼吸器関連肺傷害の予防を目的としたPEEP,呼吸仕事量軽減のためのPEEPを検討してみた。現時点では“最良のPEEP”を特定する方法はない。急性呼吸不全に対する“最良のPEEP”を求めて,まだまだ研究が不可欠である。