- 著者
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山本 里枝子
大橋 恭子
福寄 雅洋
木村 功作
関口 敦二
上原 忠弘
青山 幹雄
- 雑誌
- 情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
- 巻号頁・発行日
- vol.60, no.10, pp.1896-1914, 2019-10-15
クラウドの普及にともない,RESTに準拠したWeb APIが企業の情報システムに広がり,Web APIの利用や提供のためのソフトウェア開発が急速に増加している.そのため,Web APIの品質がそれを利用したアプリケーション開発の生産性と品質に大きな影響を及ぼすことが明らかになってきた.従来のシステム内APIと異なり,Web APIはリモートで実行され,ユーザと独立に変更される.これらの特徴はWeb APIのソフトウェア工学の新たな問題を提起しており,特に数が増えているエンタープライズWeb APIを利用するユーザのリスクとなっている.本稿では,システムAPIと異なるWeb APIの品質面の特徴をとらえる試みとして2つの品質特性を定義した.Web APIを利用するアプリケーション開発者のパースペクティブから,ユーザビリティの品質副特性である習得容易性と互換性の品質副特性である相互運用性が我々の課題に対応すると特定し,品質モデルを定義した.この品質モデルに基づいて,尺度と定量的評価方法も提案する.本稿では提案する品質モデルを,Uber,WordPress,OpenStack,メディア処理を含む実際のWeb APIに適用した.提案したモデルを検証するため,Web APIの習得容易性と相互運用性について実証的実験を行った.提案した品質の統計値と実験結果を比較し,提案した品質モデルと尺度の有効性を検証した.