著者
関崎 博紀
出版者
公益社団法人 日本語教育学会
雑誌
日本語教育 (ISSN:03894037)
巻号頁・発行日
vol.155, pp.111-125, 2013 (Released:2017-02-17)
参考文献数
13

本研究では,日本人大学生同士の雑談の中で否定的評価として機能した発話を取り上げ,その言語的な表現方法を分析した。分析は,各発話が,評価の内容(「価値づけ」),評価の対象となる「事柄」,対象を評価する「基準」のいずれに言及したものかという観点から行い,次のことを明らかにした。「価値づけ」の表現方法には,語義として評価の意味を含んだ単語を利用する方法と比喩表現から価値づけを示唆する方法があった。また,「事柄」を表現する方法には,価値づける対象となる事柄を言語化する方法と,その事柄の結果として生じた事態を言語化する方法が見られた。価値づけの基準への言及方法には,モダリティ表現を用いた方法と基準を言語化する方法が見られた。最後に,本研究が日本語教育に示唆することについて考察した。