著者
廣畑 吉昭 小野 滋 薄井 佳子 馬場 勝尚 辻 由貴 廣谷 太一 関根 沙知 堀内 俊男
出版者
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
雑誌
日本小児外科学会雑誌 (ISSN:0288609X)
巻号頁・発行日
vol.57, no.7, pp.1089-1093, 2021-12-20 (Released:2021-12-20)
参考文献数
16

症例は14歳の男児.Haller index 4.1の漏斗胸に対してNuss法を施行した.術後経過は良好で術後12日目に退院した.術後35日目の夜間から胸痛,体熱感が出現し,翌日から嘔吐を認めた.近医を受診し,頻脈と単純X線検査で心拡大を指摘され,心膜炎の疑いで当院救急外来を受診した.超音波検査で心囊液の貯留と心房心室の拡張障害を認め,心タンポナーデと診断した.心囊ドレナージ術を施行したが,発熱が遷延し,排液は減少せず,細菌培養検査では菌を同定できなかった.ペクタスバー®(メディカルU&A,以下バー)の偏位もないことから,反応性の心囊液貯留と診断し,ドレナージ術後4日目にバー抜去術を施行した.抜去術後に症状は直ちに改善し,抜去術後11日目に退院した.Nuss法の合併症として,反応性の心囊液貯留による遅発性の心タンポナーデは非常に稀で重篤な合併症であり,遅発性合併症の可能性に留意してフォローする必要がある.