著者
米谷 雄介 後藤田 中 小野 滋己 青木 有香 宮﨑 凌大 八重樫 理人 藤本 憲市 林 敏浩 今井 慈郎 最所 圭三
出版者
国立大学法人 情報系センター協議会
雑誌
学術情報処理研究 (ISSN:13432915)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.54-63, 2018-09-19 (Released:2018-09-10)
参考文献数
20

日本年金機構に対する標的型攻撃(2015年6月)では多数の個人情報が流出し,香川大学(以下:本学)の医学部附属病院でも,同様の攻撃によって端末1台がウイルスに感染するインシデントが発生した.本学では,こうした事例に基づき,2016年度に,情報セキュリティ対策の強化の一環として,構成員(特に教職員)による標的型攻撃メール対応訓練を導入した.これに続き,香川大学情報セキュリティインシデント対策チーム“KADAI CSIRT”(以下:本CSIRT)を発足させ,訓練・教育・注意喚起・報告受付の各業務を組織化し,攻撃に対する本学の潜在的課題やCSIRT活動の課題を探るべく調査を実施してきた.本論文では,標的型攻撃メール訓練に対する構成員から得られた主観的評価等のデータに基づきCSIRT構築過程を詳述する.
著者
廣畑 吉昭 小野 滋 薄井 佳子 馬場 勝尚 辻 由貴 廣谷 太一 関根 沙知 堀内 俊男
出版者
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
雑誌
日本小児外科学会雑誌 (ISSN:0288609X)
巻号頁・発行日
vol.57, no.7, pp.1089-1093, 2021-12-20 (Released:2021-12-20)
参考文献数
16

症例は14歳の男児.Haller index 4.1の漏斗胸に対してNuss法を施行した.術後経過は良好で術後12日目に退院した.術後35日目の夜間から胸痛,体熱感が出現し,翌日から嘔吐を認めた.近医を受診し,頻脈と単純X線検査で心拡大を指摘され,心膜炎の疑いで当院救急外来を受診した.超音波検査で心囊液の貯留と心房心室の拡張障害を認め,心タンポナーデと診断した.心囊ドレナージ術を施行したが,発熱が遷延し,排液は減少せず,細菌培養検査では菌を同定できなかった.ペクタスバー®(メディカルU&A,以下バー)の偏位もないことから,反応性の心囊液貯留と診断し,ドレナージ術後4日目にバー抜去術を施行した.抜去術後に症状は直ちに改善し,抜去術後11日目に退院した.Nuss法の合併症として,反応性の心囊液貯留による遅発性の心タンポナーデは非常に稀で重篤な合併症であり,遅発性合併症の可能性に留意してフォローする必要がある.
著者
米谷 雄介 後藤田 中 北原 美里 小野 滋己 青木 有香 八重樫 理人 藤本 憲市 林 敏浩 今井 慈郎 最所 圭三 喜田 弘司
出版者
国立大学法人 情報系センター協議会
雑誌
学術情報処理研究 (ISSN:13432915)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.112-121, 2019-09-17 (Released:2019-09-17)
参考文献数
5

情報セキュリティマネジメントにおいて,組織および組織を取り巻く環境に適合したセキュリティ対策の状況の確認・有効性の確認は必要不可欠である.本学では,予算・運用形態等の制約の中で,導入したセキュリティ製品の組織への妥当性を点検する試みを行っている.近年の標的型攻撃に重点を置き,本学のファイアウォールで監視されるメール,またWebからのダウンロードファイルを対象に,サンドボックスによる検知マルウェアに対するセキュリティ製品の対応状況を確認している.本研究では,パターンファイルが新種・亜種に対応するまでの期間を調査して,全学レベルで導入したアンチウイルスソフトおよび他社製品群を対象に,その妥当性の点検作業を支援するシステムを開発した.
著者
若尾 純子 嶋寺 伸一 小野 滋 岩井 直躬
出版者
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
雑誌
日本小児外科学会雑誌 (ISSN:0288609X)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.327-330, 2011

症例は10歳女児.強い下腹部痛と尿閉を主訴に小児科救急外来を受診した.当初,腹部X線検査と腹部超音波検査にて腹腔内腫瘤が疑われたが,腹部CTおよび局所所見より処女膜閉鎖症による腟留血腫と診断し,MRIにて合併奇形のないことを確認した.手術では閉鎖した処女膜を輪状切開し,粘稠な旧血性内容液を350ml排出させた後,処女膜の切開縁を全周性に縫合した.術後経過は良好で,定期的な月経の発来を認めている.本症は比較的まれな疾患であり,新生児期および思春期に発見されることが多い.思春期例では外陰部の視診が躊躇されがちで,診断が遅れることがある.下腹部痛を主訴とする初潮未発来の年長女児においては,鑑別診断として本疾患を念頭におき,外陰部の視診を必ず行うことが重要である.
著者
藤村 直樹 松本 賢治 小野 滋司 尾原 秀明 北川 雄光
出版者
特定非営利活動法人 日本血管外科学会
雑誌
日本血管外科学会雑誌 (ISSN:09186778)
巻号頁・発行日
vol.18, no.4, pp.523-528, 2009-06-25 (Released:2009-07-15)
参考文献数
20

今回われわれは,椎骨動脈転位術を要した椎骨動脈狭窄症の 2 例を経験した.症例 1 は51歳,女性.主訴は視野障害で,精査にて両側の椎骨動脈起始部および左鎖骨下動脈に狭窄を認めた.症例 2 は66歳,女性.主訴は突発性の回転性めまいで,精査にて左椎骨動脈起始部および左鎖骨下動脈に狭窄を認めた.いずれも椎骨動脈転位術を施行し,良好な結果が得られたが,頸動脈や鎖骨下動脈と異なり,椎骨動脈狭窄症に対する治療の適応や治療法の選択については,いまだに確立されていない.一般的に椎骨動脈狭窄症に対する外科的治療の適応は,有症状の狭窄性病変とされているが,統一的見解は得られていない.また最近では血管内治療の有用性も報告されているが,それぞれを比較した報告は認めず,長期成績も不明である.今後低侵襲な血管内手術が第一選択となるであろうが,さらなる検討が望まれる.
著者
薄井 佳子 小野 滋 馬場 勝尚 辻 由貴 河原 仁守 前田 貢作
出版者
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
雑誌
日本小児外科学会雑誌 (ISSN:0288609X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.927-932, 2016-06-20 (Released:2016-06-20)
参考文献数
12

【目的】小児気道異物の臨床像は多彩であり,異物吸引のエピソードが明らかでない場合や非典型例では初期診断が難しい.胸部単純X 線(以下CXR)のみによる画像診断は困難なため,CT 検査(以下CT)の有用性について検討した. 【方法】過去7 年間に当科で診療した16 歳未満の気道異物(疑いを含む)の症例を対象として後方視的に解析した. 【結果】12 症例が対象となり,発症時年齢は1 歳5 か月から10 歳4 か月(中央値3 歳5 か月)であった.10 例に対して硬性気管支鏡が行われ,7 例で気道異物(ピーナッツ5 例,小石1 例,円筒形・中空のプラスチックチューブ1 例)が確認されたが,2 例は異物吸引による誤嚥性肺炎,1 例は異常所見なしと診断した.非典型的な臨床経過の2 例は,CXR,CT および入院経過により気道異物なしと判断して気管支鏡を施行しなかった.術前の画像検査は,12 例全てにCXR,10 例にCT が施行されていた.2 例は来院直後に硬性気管支鏡を施行して診断したため,CT を施行しなかった.気管支鏡での異物摘出を要した7 例全てが,術前にCXR およびCT を施行されており,それぞれの画像検査所見を比較した.CXR では3 例に異常所見を認めたが異物を描出できたのは1 例のみで,2 例は過膨張や無気肺など間接的所見のみであった.一方CT では6 例に明瞭な異物描出および間接的な肺野情報を詳細に得られた. 【結論】気道異物を疑う症例では迅速な気管支鏡による確定診断と異物の摘出が基本であるが,近年のCT は数秒の撮影時間で異物の大きさ,部位,間接的な肺野異常など詳細な情報を得られるため,小児気道異物の画像診断におけるCT の有用性は高い.
著者
高林 久美子 沼崎 誠 小野 滋 石井 国雄
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.79, no.4, pp.372-378, 2008 (Released:2011-08-26)
参考文献数
18
被引用文献数
3 1

This study investigated women's stereotyping and evaluation processes for other women related to their own activated self-representations for categories of homemaker and career women. We predicted that when self-representation as a traditional woman was activated, participants would evaluate traditional women more positively and nontraditional women more negatively than when self-representation as a nontraditional woman was activated. When self-representation as a traditional woman was activated, participants would regard traditional women as more feminine and nontraditional women as more masculine. Fifty-three female college students were asked to imagine their future selves as a career woman or a homemaker and rate their difficulty in imagining this. Next, they were presented with a fictitious profile of a career woman or a homemaker and asked to rate this woman. The results supported the hypotheses for those who imagined their future selves clealy. The importance of the relative perspectives of women's prejudice toward other women was discussed.