著者
関根 邦充
出版者
いわき明星大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2014-04-01

○研究の目的平成25年度高校卒業者のうち、震災の影響を明確な理由として当初の進路希望を変更し決定せざるを得なかった生徒の員数、及び環境放射線量が進路選択に与えた影響を調査し、平成23年度の数値と比較して当該生徒数が減少したかどうかを明らかにする。○研究方法福島県内の高等学校106校ヘアンケート調査を依頼した。協力を得られた59校(卒業対象者数9, 363名)のデータから分析・検証した。○研究成果調査の結果、震災を明確な理由として当初の進路希望を変更した生徒数は0名であった。平成23年度【21名(全体の0.26%)】に比べ、当該生徒が皆無になったことにより震災前の状況に戻っていると言える結果であった。また、環境放射線量の影響が進路選択に与えた影響については、高校教員が生徒の進路指導を行うに当たり感じた印象を調査した。調査結果は、「強く感じた」、「まあまあ感じた」等、影響があったと回答した高校は全体の3%(2/59校)、「あまり感じなかった」、「ほとんど感じなかった」等、影響がなかったと回答した高校は83%(49/59校)であり、環境放射線量が進路選択の際に影響を与えていないと感じる高校が大勢を占めた状況となった。一方、少数ではあるが、環境放射線量が影響を与えていると感じる高校、どちらともいえないと回答する高校も存在しており、まるで影響がないと言い切れる結果にはならなかった。また、進学先として選択した学校種別及び地域を調査し平成23年度と平成25年度を比較した結果、以下のことが分かった。・進学先として選択する学校種別は、ほぼ変わっていない。・進学先として選択する地域は、大学、専門学校に進学した生徒についてはほぼ変わらない。短期大学に進学した生徒は、東京都を選択する割合が増加している。・福島県内に残留する割合は、平成23年度に比べて大きく変わらない。