著者
関谷 正男 永沢 信
出版者
社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
農産加工技術研究會誌 (ISSN:03695174)
巻号頁・発行日
vol.3, no.3, pp.170-173, 1956

宮城県仙台市内の製あん所8か所および製菓工場22工場を調査し,その製品の化学分析,細菌検査などをおこなつた。その結果,(1) 製あん工場は一般に衛生管理が適当でなく,生あんもほとんどすべて大腸菌群陽性,総細菌数も多かつた。人工着色料には禁止品使用は無かつた。(2) 製菓工場は製あん工場に比較して一般に衛生管理は進んでいるが,半数は視覚採点50点以下であつた。(3) 製品の総細菌数は季節的な影響がかなり現れるが,一般的には衛生管理の良否と菌数とは関連が認められる。少数ではあるが大腸菌の検出されたものがある。(4) 糖分と水分とが安全度,保存性に大きい影響があることが確認される。(5) 銅なべ使用に対する注意の不足が認められるが,危険量を含有するものは無かつた。<BR>本調査は,著者の1人(関谷)が中心となつて,宮城県衛生研究所の事業の一部としておこなわれたものである。本調査の機会を与えられた青木大輔所長,ならびに終始熱心に協力せられた東北大学農学部鬼川マキ君に感謝の意を表する。また,各種検査,採取に御援助をいただいた衛生研究所白取技官,仙台市中央保健所草川技官にも感謝する。