著者
阪中 專二
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成23年度日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.65, 2011 (Released:2011-08-30)

【目的】カフェインはコーヒーや茶などの嗜好飲料の原料である植物に多く含まれる。強い中枢神経興奮作用を有するカフェインは過剰に摂取すると健康人でも極度の興奮,神経過敏,吐き気,不眠などの作用を引き起こす。カフェインは胎盤を通過したり,母乳中に容易に移行することから妊娠周辺期の女性では過剰の摂取に注意が必要であるとの指摘もある。本研究ではカフェイン含有飲料から,他の成分に影響することなく簡易にカフェインを除去する方法を試験した。 【方法】緑茶の熱水抽出液または緑茶抽出物粉末の溶解液に種々の吸着剤を添加し,抽出液中に残存するカフェイン(CF)と茶ポリフェノール類(エピガロカテキンガレート(EGCg),エピカテキンガレート(ECg))の含量をHPLC分析(Develosil ODS-HG使用)により測定した。吸着剤処理前後のカフェインと茶ポリフェノール類との割合(EGCg /CF)を比較し,効率的な分離を評価した。また,処理後の吸着剤の除去を濾過や遠心分離することなく磁石で簡易に行う方法として吸着剤の磁性化についても試験した。 【結果】試験した吸着剤中,カオリン,酸性白土および活性白土が選択的にカフェインを除去した。これらの吸着剤はいずれもカフェイン残存率が10%以下,EGCg残存率が75%以上であり,選択的なカフェインの除去が可能であった。最も効率的なカフェイン除去効果を示した活性白土を用いて磁性化活性白土を調製し,緑茶抽出液のカフェイン除去を試験した結果,活性白土と同様EGCg/CF割合が約10倍上昇し,90%以上のカフェインを除去することができた。