著者
阿井 淑乃 都築 繁幸
出版者
愛知教育大学障害児教育講座
雑誌
障害者教育・福祉学研究
巻号頁・発行日
vol.7, pp.25-36, 2011-02

本研究では,第1学年の通常の学級の算数科授業におけるADHD児の学習行動を分析した。同一の授業内で「運動」のある活動時と「運動」のない活動時でADHD児の行動を比較した。いずれのADHD児も「運動」のある場面の方が「話題にそった行動」が多く見られた。また,どちらの児童も教師が「運動」の指示をしているとき,「話題にそった行動をする」ことが多かった。これは,「運動」のある活動を取り入れ,授業に変化が出ることで,ADHD児の集中力が持続したためだと考えられた。「運動」のある活動を行う場合,例えば,一斉に朗読をするなどの活動ではなく,板書を写したりプリントの問題を解いたりする時,課題が終わったら何をするのかを事前に伝え,空白の時間を作らないこと,机間指導により一人一人の様子を注意深く見ること,やるべきことが分かっていない児童や集中できていない児童に声をかけること,「「運動」の指示」を出すときは,注意を促してから話し始めることが重要であることが示唆された。