著者
阿比留 睦美 酒井 浩 澤田 泰洋 山根 寛
出版者
日本作業療法士協会
巻号頁・発行日
pp.593-601, 2011-10-15

要旨:音楽刺激は,視覚刺激と比較し,より効率的に注意機能を促進するとされているが,その効果は十分明らかになっていない.そこで健常者を対象に,近赤外線分光法を用い音楽活動時の前頭葉の賦活状況を分析し,注意障害の訓練における音楽の効果を検証した.活動は,「注意課題」と「二重課題」を想定した活動を用いた.その結果,「注意課題」では有意な傾向はみられなかったが,「二重課題」で実行機能に関与するとされている左側前頭葉背外側の賦活が有意に確認できた(p<0.05).単独で用いるには課題の提示方法などに工夫が必要であるが,前頭葉背外側を用いるとされる注意機能の訓練に,音楽利用の可能性が示唆された.