著者
酒井 浩介
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.58, no.12, pp.47-58, 2009-12-10 (Released:2017-08-01)

一九二〇年代の新潮合評会の佐藤春夫と久米正雄の会話の記録の不備を手掛りとして座談会と速記の関係に着目し、帝国議会議事速記録(一八九〇)から小林秀雄までを射程に座談会の批評的な意義を考察する。座談会とは会話を活字として現前させようという欲望によって生み出された言説のトラブルなのであり、それは書き言葉の無意識として現れ、言文一致という形で整除された近代文学にひびを入れることで批評性を獲得するのである。
著者
酒井 浩介
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.58, no.12, pp.47-58, 2009

一九二〇年代の新潮合評会の佐藤春夫と久米正雄の会話の記録の不備を手掛りとして座談会と速記の関係に着目し、帝国議会議事速記録(一八九〇)から小林秀雄までを射程に座談会の批評的な意義を考察する。座談会とは会話を活字として現前させようという欲望によって生み出された言説のトラブルなのであり、それは書き言葉の無意識として現れ、言文一致という形で整除された近代文学にひびを入れることで批評性を獲得するのである。
著者
宮本 雅人 酒井 浩之 増山 繁
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 : 日本知能情報ファジィ学会誌 : journal of Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.18, no.5, pp.752-760, 2006-10-15
被引用文献数
1 2

研究のプレゼンテーションでは,限られた時間の中で,聴衆に研究成果をよく理解してもらうために,プレゼンテーションスライドの作成が必要不可欠である.しかし,スライドの作成には多くの時間と手間を要する.そのため,多くの研究者がスライド作成の効率化を望んでいる.本研究では,研究者の負担軽減を目的として,論文LATEX原稿からスライドを自動生成する手法を提案する.本手法では,LATEXファイルの解析,スライドへの内容の割り当て,接続詞を利用した箇条書き生成を行なう.LATEXファイルの解析では,スライド生成に必要な情報は残し,不要な情報の削除を行なう.LATEXファイルの定型的な構造を利用すれば,必要な情報を特定することが可能である.スライド割り当てにおいては,論文中での名詞の出現頻度,エントロピー,idf値に基づいて名詞の重要度を計算する.その重要度に基づいて,各セクションに対して,スライド枚数の割り当て,重要文の抽出を行なう.接続詞を利用した箇条書き生成においては,並列関係を表す接続詞を利用する.なぜなら,並列関係を表す接続詞を含む文には,その文と対になる文が存在する場合が多いからである.評価の結果,本手法は論文に忠実なスライド生成に有効であることがわかった.
著者
坂地 泰紀 酒井 浩之 増山 繁
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.28, 2014

本論文では,決算短信PDFから因果関係を抽出し,それを用いて過去の因果関係を表示させるシステムを提案する. 例えば,企業名をシステムに入力すると,その企業に関連する過去の因果関係を表示する.原因として「猛暑」,結果として「冷房需要の盛り上がり」という因果関係が表示されたとすると,現在,「猛暑」であれば,この銘柄に投資するためのポジティブな判断材料として役立つことができる.
著者
酒井 浩之 西沢 裕子 松並 祥吾 坂地 泰紀
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.172-182, 2015-01-06 (Released:2015-01-06)
参考文献数
13
被引用文献数
4

In this paper, we propose a method of extracting causal information from PDF files of the summary of financial statements of companies, e.g., ''The sales of smart phones was expanded continually''. Cause information is useful for investors in selecting companies to invest. We downloaded 106,885 PDF files of the summary of financial statements of companies from Web pages of the companies automatically. Our method extracts causal information from the PDF files by using clue expressions (e.g., ''was expanded'') and keywords relevant to a company. The clue expressions are extracted from the PDF files of the summary of financial statements of companies and articles concerning business performance of companies automatically. We developed the search system which is able to retrieve causal informations extracted by our method. The search system shows causal information containing a keyword inputted by users, and the summary of financial statements containing the retrieved causal information. We evaluated our method and it attained 83.91% precision and 55.04% recall, respectively. Moreover, we compared our method with Sakai et al's method originally proposed for extracting causal information from financial articles concerning business performance of companies and experimental results showed that our method outperforms Sakai et al's method.
著者
酒井 浩之 増山 繁
出版者
一般社団法人 言語処理学会
雑誌
自然言語処理 (ISSN:13407619)
巻号頁・発行日
vol.12, no.5, pp.207-231, 2005-10-10 (Released:2011-03-01)
参考文献数
17

略語とその略語に対する元の語 (原型語と定義) との対応関係を, コーパスから自動的に獲得する手法を提案する.本手法は, 同一の再現率においてより高い精度を達成できるように, 我々の既提案手法 (酒井, 増山2002) を改良したものである.このような知識は, 情報検索や文書要約などにおいて有用である.本手法は, まず, 略語候補とそれに対応した原型語の候補を, それらを構成している文字情報から獲得する.そして, 略語候補と原型語の候補の名詞問類似度を計算することで, 略語とその原型語との対応関係を取得する.例えば, 略語「原発」に対して, 原型語「原子力発電所」のような対応関係を取得できる.なお, 本手法はコーパスに出現する各名詞が略語か原型語であるかどうかの情報が与えられていることを前提としていない.評価の結果, 名詞間類似度の閾値を0.4に設定した場合, 精度73.4%の結果を得た.本手法と既提案手法とを比較した結果, 同一の再現率においてより高い精度を達成し, 既提案手法よりも有効な手法であることを確認した.
著者
酒井 浩二 吉川 秀樹 徳田 仁子 松本 しのぶ 千葉 晃央 西川 潤 中木 直子 高見 茂
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会研究報告集 (ISSN:24363286)
巻号頁・発行日
vol.2023, no.3, pp.180-187, 2023-10-16 (Released:2023-10-16)

大学設置基準改正で,2019年度から大学は学部等が連携して編成する教育課程「学部等連係課程」を置くことができるよう制度化された.本稿では,学部等連係課程の特色を概観し,本学で設置された学部等連係課程「人間健康学群」を事例として,設置の背景,連係学部,教育プログラムの特徴を概説する.社会課題の発見・解決力を修得して社会で活躍するための教育課程として,学部等連係課程の効率性と有効性を考察する.
著者
児玉 実優 酒井 浩之 永並 健吾 高野 海斗 中川 慧
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第36回 (2022)
巻号頁・発行日
pp.3K4GS1001, 2022 (Released:2022-07-11)

近年, 投資家は, ESG(E:環境,S:社会,G:統治)情報を投資判断において重視しており,ESG関連情報をテキストデータから抽出する技術が必要とされている. ESG関連情報は統合報告書に多く記載がある. しかし, 企業によってレイアウトや内容が異なり, 学習データの作成が困難である. そこで本研究では, まず有価証券報告書(有報)から ESG関連情報を抽出する. 有報にも統合報告書ほどではないが, ESG 関連情報の記述がある. また, レイアウトはどの企業も同じであり, さらに XBRL 形式と呼ばれるテキスト形式で配布されているので, テキスト処理を行いやすい. 次に有報から抽出したESG関連情報を学習データとして,BERTモデルをファインチューニングする. 最後に当該BERTモデルを用いて統合報告書からESG関連情報を抽出することで,統合報告書から直接学習データを作成する困難を解決できた. 実際に, 本手法で各企業の統合報告書から ESG 関連情報を抽出した.結果, E,S,Gに関する情報をそれぞれ93.3%,91.7%,77.4%の適合率で取得でき,良好な結果が得られた.
著者
阿比留 睦美 酒井 浩 澤田 泰洋 山根 寛
出版者
日本作業療法士協会
巻号頁・発行日
pp.593-601, 2011-10-15

要旨:音楽刺激は,視覚刺激と比較し,より効率的に注意機能を促進するとされているが,その効果は十分明らかになっていない.そこで健常者を対象に,近赤外線分光法を用い音楽活動時の前頭葉の賦活状況を分析し,注意障害の訓練における音楽の効果を検証した.活動は,「注意課題」と「二重課題」を想定した活動を用いた.その結果,「注意課題」では有意な傾向はみられなかったが,「二重課題」で実行機能に関与するとされている左側前頭葉背外側の賦活が有意に確認できた(p<0.05).単独で用いるには課題の提示方法などに工夫が必要であるが,前頭葉背外側を用いるとされる注意機能の訓練に,音楽利用の可能性が示唆された.
著者
太田 貴久 南 拓也 山崎 祐介 奥野 好成 田辺 千夏 酒井 浩之 坂地 泰紀
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

本研究では,発明の新たな用途先を探す手法を提案した.提案手法では,はじめに,技術的特徴とそれに対応する効果を抽出する.その後,ユーザが指定した発明と,技術的特徴が類似し,かつ効果が類似しない他の特許を検索する.このような手法によって,発明の新たな用途先を探索する.提案手法に対して実験を行った結果,実際に別用途へ展開された特許の例を再現することでできた.
著者
北森 詩織 酒井 浩之 坂地 泰紀
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J100-D, no.2, pp.150-161, 2017-02-01

本論文では,企業の決算短信PDFから,今後の業績に関する記述がある文を抽出する手法を提案する.近年,証券市場における個人投資家の比重が増大しており,個人投資家に対して投資判断の支援をおこなう技術の必要性が高まっている.そのため,人工知能分野の手法や技術を,金融市場における様々な場面に応用することが期待されており,例えば,膨大な金融情報を分析して投資判断の支援を行う技術が注目されている.ここで,投資の際,投資家にとって重要なのは,企業の今後の業績予測を知ることである.なぜなら,現在の業績が赤字であったとしても,今後の業績が回復することが企業側から示されれば,株価は上昇する場合がある.そこで,本研究では,企業の決算短信PDFから,業績予測文(企業の今後の業績予測を示す文)を抽出する手法を提案する.本手法では,業績予測文の文頭と文末に特徴的に出現する表現を用いることで,業績予測文を抽出する.加えて,これらの特徴的な表現を,半自動的に収集することが可能な手法となっており,業績予測文を幅広く網羅できる.
著者
酒井 浩江
出版者
Japan Society of Material Cycles and Waste Management
雑誌
廃棄物学会誌 (ISSN:09170855)
巻号頁・発行日
vol.10, no.5, pp.357-367, 1999-09-30
被引用文献数
2

家電リサイクル法はわが国の個別リサイクル法としては容器包装リサイクル法に次ぐものと位置づけられる。いずれもその特徴は, 消費者を経て排出された廃棄物の再利用義務を事業者が負うという特徴を持つ。しかしこれらの法律はまた, 発生抑制, 再使用という廃棄物対策としてはプライオリティーにおいて上位に位置すべき施策をその目的に持たないという共通項をも持っている。<BR>このことは, 循環経済社会の構築を標榜しながらもそれには不可欠の上流での対策, つまりは製造者責任, 事業者責任を法的に問わないことを意味する。この聖域を打破しない限り循環経済社会の扉は開かれない。家電リサイクル法は果たしてその扉をたたけるものなのだろうか?
著者
根岸 龍 酒井 浩之 永並 健吾
出版者
Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.693-699, 2023-08-15 (Released:2023-08-16)
参考文献数
10

本研究では,日経平均市況概況記事を自動生成するための一環として,株価と決算短信から株式動向を表現する文を自動的に生成することを目的とする.本手法によって自動生成される株式動向を表現する文は,例えば「小売業,卸売業,建設業関連が上昇.機械,鉄鋼,電気機器関連が下落」のような文である.本手法では,株価と決算短信から株式市場の動向,株価の変動要因となる事業,製品,社会背景等を投資テーマとして抽出する.具体的には,株価データから大きく変動した企業群を抽出し,各企業の決算短信から抽出したキーワードを基に,企業群をクラスタリングして絞り込みを行う.次に,絞り込みを行った企業群の各キーワードから投資テーマを推定し,推定された投資テーマを基に株式動向を表現する文の自動生成を行う.また,生成した株式動向を表現する文を用いて,日経平均市況概況記事の生成を試みる.
著者
酒井 浩介
出版者
早稲田大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2013-08-30

日本近代の雑誌メディアにおける座談会記事の流通と、それが文学・批評においてどのような役割を果たしたかを調査した。戦前、昭和初期の誌上座談会を資料として収集し、小林秀雄らが関わった『文学界』に代表されるこの時期の文芸座談会の批評的な役割の分析が主な目的だったが、それを明らかにするために傍証として必要な資料の収集に難航した。また、体調を崩したこともあり、まとまった形として発表できなかった。話し言葉として半ば放言することがこの時期の批評に、その言葉の責任に二重性を付与していたことについて今後、改めて発表する機会を持てればと思っている。
著者
荻野 司 須永 修通 増井 周平 酒井 浩介
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会環境系論文集 (ISSN:13480685)
巻号頁・発行日
vol.81, no.729, pp.1007-1016, 2016

&nbsp;The Active Energy-saving Control System for Air-Conditioning (hereafter called "AECS-AC") was introduced to an office room where there were multiple indoor air-conditioning units and the results of verification experiments conducted in summer and winter with a focus on the thermal environment and the temperature adjustment actions of the people in the room were analysed. This system reduces deterioration of room conditioning by sensing when the occupants switch the air conditioning on and off. Ultimately, the system should satisfy the thermal comfort requests of occupants by feedback of their adjustment behaviour, rather than by collecting the occupants' attributes, thermal and comfort sensations, and psychological conditions.<br>&nbsp;The main results are as follows.<br>&nbsp;1) In summer (Jul.-Sep.), AECS-AC was conducted at a pre-set temperature of 26&deg;C in an office room with multiple indoor units, which were alternately grouped into two. After the air conditioning mode was stabilized, the mean room temperature was maintained at 26-28&deg;C irrespective of the outdoor temperature. The temperature variation at the sensor positions due to the start-stop operations of the indoor units was 1-1.5&deg;C and the room temperature variation across the office room was about 2-3&deg;C.<br>&nbsp;2) In winter (Dec.-Feb.), AECS-AC was conducted at a pre-set temperature of 22&deg;C in an office room with multiple indoor units, which were alternately grouped into two. After the air conditioning mode was stabilized, the mean room temperature was maintained at 22-25&deg;C irrespective of the outdoor temperature. The temperature variation at the sensor positions due to the start-stop operations of the indoor units was 1&deg;C and the room temperature variation across the office room was about 2&deg;C.<br>&nbsp;3) In the air-conditioning control according to the number of occupant's switching-on/off actions, the AECS-AC followed the change in the thermal environment caused by the influence of the outdoor temperature.<br>&nbsp;4) The number of manual switching-on/off actions varied from place to place in the room and differed between the perimeter side and the interior side. The occupant's preference on the thermal environment could be deduced from their air conditioner adjustment actions.<br>&nbsp;5) According to the questionnaire results in winter, almost neutral air-conditioning control could be realized for the occupants based on their answers that 60-80% were neither hot nor cold. Regarding comfort evaluation, about 50% of answers of &ldquo;comfortable&rdquo; and &ldquo;slightly comfortable&rdquo; were accounted, and it went up to about 80-90% if including the answers of &ldquo;neither of them.&rdquo;<br>&nbsp;The above results show that the AEC-AC based on the number of people's air conditioning adjustment actions realized air-conditioning control appropriately to the thermal environment of an office room with multiple air conditioners.<br>&nbsp;Furthermore, the possibility of personal-like air-conditioning realization was shown by controlling an indoor unit individually.