著者
岡本 敏雄 松田 昇 降矢 俊彦
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学雑誌 (ISSN:03855236)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.85-99, 1995-09-20
被引用文献数
2

情報に係わる教育内容が新指導要領の中でうたわれ,様々なカリキュラムや教材教具が開発されている.そういった動向の中で,本研究の目的は,中学校の生徒における情報処理の能力と既存の数学の成績との関連を分析することである.情報処理の能力を捉えるための因子構成項目として,(1)手続き的なプログラミング,(2)ファイル操作,(3)情報処理通性,(4)問題空間の認識と目標接近への問題解決過程,といった内容に関する課題を選定し,既存の数学の成績との関連の分析を試みた.その結果,数学の特定の分野(数と式における手続き的な問題解決)における成績と情報処理適性の一部(短期記憶,弁別能力)に相関が見られるなど,数学の成績と情報処理適性に若干の相関関係が見出されたが,本調査の対象となった分野における数学の成績と情報処理の能力との間の強い相関は抽出できなかった.