著者
陳 素琴 田村 照子
出版者
人間-生活環境系学会
雑誌
人間と生活環境 = Journal of human and living environment (ISSN:13407694)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.18-24, 2003-05-01

台湾の伝統的な衣服、5種の単品衣服と3種の組み合わせ衣服の断熱性を、文化女子大学のサーマルマネキンAYAを用いて測定した。結果、単品衣服の熱抵抗は0.04cloから0.328cloに分布し、組み合わせ衣服のそれは、0.424cloから0.492cloの範囲にあった。台湾の伝統衣服の熱抵抗を左右する要因としては、被覆面積と衣服重量が二大要因として抽出された。組み合わせ衣服の気候適応域を、Umbachの推定式を用いて計算すると、台湾伝統衣服の適応域は、韓国や日本の伝統衣服に比べて高い温度域となった。台湾伝統衣服は、北方の中国本土の伝統服に由来し、衿の形状や開きのデザインにはその特徴をとどめているものの、素材の軽さや通気性、あるいはゆとりを多くゆったりさせることによって、長い年月を経て台湾の高温多湿気候に適応してきたことが確認された。