著者
長谷 博子 光田 恵
出版者
人間-生活環境系学会
雑誌
人間と生活環境 = Journal of human and living environment (ISSN:13407694)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.35-43, 2012-05-01

本研究では,室内の温湿度がにおいに対する嗅覚閾値,臭気強度と快・不快度に及ぼす影響を官能評価により検討することを目的とした.パネルは,若年者の男性7名を対象とした.におい物質は,スカトール,イソ吉草酸,β-フェニルエチルアルコールを用いた.測定項目は,嗅覚閾値,臭気強度と快・不快度とした.嗅覚閾値は,におい物質間や温湿度条件間において,有意な差は認められなかった.スカトールは,嗅覚閾値の平均が最も低く,標準偏差も小さかった.臭気強度と快・不快度は同様の頃向を示し,快適条件(25℃, 50%)が他の3条件に比べて,におい物質ごとに感じ方が異なることが明らかとなった.冬季条件(22℃,20%)は,におい物質が異なっても感じ方への影響が少ないことが示された.イソ吉草酸は他の2物質よりも温湿度条件の影響を受けることが示された.β-フェニルエチルアルコールとスカトールは温湿度条件の影響を受けにくいことが明らかとなった.
著者
陳 素琴 田村 照子
出版者
人間-生活環境系学会
雑誌
人間と生活環境 = Journal of human and living environment (ISSN:13407694)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.18-24, 2003-05-01

台湾の伝統的な衣服、5種の単品衣服と3種の組み合わせ衣服の断熱性を、文化女子大学のサーマルマネキンAYAを用いて測定した。結果、単品衣服の熱抵抗は0.04cloから0.328cloに分布し、組み合わせ衣服のそれは、0.424cloから0.492cloの範囲にあった。台湾の伝統衣服の熱抵抗を左右する要因としては、被覆面積と衣服重量が二大要因として抽出された。組み合わせ衣服の気候適応域を、Umbachの推定式を用いて計算すると、台湾伝統衣服の適応域は、韓国や日本の伝統衣服に比べて高い温度域となった。台湾伝統衣服は、北方の中国本土の伝統服に由来し、衿の形状や開きのデザインにはその特徴をとどめているものの、素材の軽さや通気性、あるいはゆとりを多くゆったりさせることによって、長い年月を経て台湾の高温多湿気候に適応してきたことが確認された。