著者
陳 雨 夏 彬 植田 憲
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第64回春季研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.436, 2017 (Released:2017-06-29)

「梳箆」とは、中国の古代社会における8の髪に関する生活 用品の「櫛」に相当するものである。 本研究は、梳箆の歴史を踏まえつつ、その制作、使用および意 匠的特質を再認識し、当該地域の日常および非日常生活における 梳箆の役割を把握するとともに、現代において梳箆の文化を振興 するためのあり方を導出することを目的としたものである。 本研究は今日消失しつつある常州梳箆文化を分析すると ともに今後の方策を提案した。今後にあっては、常州梳箆の諸特 質に基づき、単に機能的の商品としてではなく、文化として伝承 することがきわめて重要である。日常および非日常生活において 梳箆に内包された思いを共に巡らせ伝え合いながら、梳箆の使用 や制作等の共同体験が、同じ地域人としての意識や結び付きを呼 び覚まし、梳箆は文化としての機能・役割を再び取り戻すことに なるといえよう。