著者
陳 黎明 長谷川 伸
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.46, no.5, pp.615-623, 1992
被引用文献数
2 1

カラー画素をマトリクス状に配した画像表示装置の解像度に関する表示特性の評価は, 固体撮像素子のように単にサンプリング定理での解釈だけでは済まず, 人間の目の視覚特性を取り入れて一緒に考えなければならない.本論文では, 3種類のカラー画素配列について, それぞれの画素逆格子による表示ナイキト限界を導入した後に, 静止画および動画表示における2次元視認解像度限界を主観評価で定量的に求め, カラー画素配列の評価を行っている.まず静止画表示では, それぞれが静止した白黒正弦波および単色正弦波を表示したときの2次元視認解像度限界を, 多数の被験者によるシミュレーション画像の主観評価から求め, 表示ナイキスト限界との比, すなわちケルファクタともいうべき解像度限界係数を求めた.その結果, 白黒表示ではその限界係数は約0.6〜0.7で, 単色表示ではそれは約0.5〜0.6であった.また3種類のうち, 総合的にデルタ配列が最も優れていると評価された.一方, 動画表示では, 定速度で水平, 斜め, 垂直方向に動く白黒正弦波パターンを表示したときの視認解像度限界を同様にして求め, この種の表示装置の動画表示における視認解像度特性と動きの速度, 画素配列との関係について検討した結果, どの画素配列においても, 最適速度で一般にその視認解像度限界は, 静止画表示と比べ, 最大約10%〜20%の改善をしていることを明らかにした.