- 著者
-
越田 俊介
陶山 健仁
- 出版者
- 一般社団法人 電子情報通信学会
- 雑誌
- 電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
- 巻号頁・発行日
- vol.9, no.1, pp.24-36, 2015-07-01 (Released:2015-07-01)
- 参考文献数
- 60
- 被引用文献数
-
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5
ディジタルフィルタは,言うまでもなく信号処理の基礎を成す重要な技術である.それゆえに,高い性能を有する「良い」ディジタルフィルタを得るための手法は古くから数多く提案されており,現在もなお幅広い視点から研究が進められている.しかしながらその研究成果は,今日のアプリケーションにおいて必ずしも十分に普及してはいないようにも思われる.その理由として,ディジタルフィルタの研究テーマの多様化・複雑化に伴い,「『良い』ディジタルフィルタとは何か」及び「『良い』ディジタルフィルタを得るために何が必要なのか」についての理解が曖昧になっている可能性が考えられる.そこで本稿では,まずこの問題について,設計・実現・実装それぞれの観点から明確に述べる.そして,「良い」ディジタルフィルタを得るための最新の研究動向として,2014 年ソサイエティ大会にて実施されたシンポジウムでの発表内容を中心に紹介する.更に今後の課題として,「良い」ディジタルフィルタを広く普及させるために考えるべきことについて議論する.