著者
階戸 照雄 加藤 孝治
出版者
日仏経営学会
雑誌
日仏経営学会誌 (ISSN:09151206)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.14-30, 2020 (Released:2020-07-21)
参考文献数
14

現在、わが国の食品輸出は順調に拡大を続け、2020年度には1兆円を上回る勢いである。個別の食品を見ると、伝統的な加工食品の伸びが高いが、その中でも日本酒の伸びは高い。その一方で、輸出が拡大するにつれ、問題も明らかになってきた。本稿では、さらなる拡大を実現するために、ワインのグローバリゼーションの歴史やマーケティング手法などが参考に考えると、ワインに比べて製造手法が複雑であることや認知度向上のためのマーケティングを工夫することが必要であることがわかる。その一方で、作り手である酒蔵の多くはファミリービジネスであるが、廃業が増えていることも大きな問題である。今後の輸出拡大のためには、海外でのマーケティングに加えて、地方に多い酒蔵の事業継続に向けた活性化の取組が求められよう。