- 著者
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亀井 克之
- 出版者
- 日本保険学会
- 雑誌
- 保険学雑誌 (ISSN:03872939)
- 巻号頁・発行日
- vol.2011, no.615, pp.615_147-615_166, 2011-12-31 (Released:2013-03-22)
- 参考文献数
- 10
フランス保険市場では,これまでMSI(直販相互保険会社)やバンカシュランスの台頭によって,マーケティング戦略上のイノヴェーション導入を契機とした激しい競争を通じて,商品とサービスが洗練されてきた。イノヴェーションは,既存の商品やサービスに欠けている点を補い,顧客満足を実現するが,それを支えるのがブランド戦略・コミュニケーション戦略であった。近年,フランス保険市場では,インターネット技術の進展に支えられて,クルティエ・グロシスト(卸売ブローカー),保険比較サイト,さらにはPay as you drive型保険のインターネット専売事業などが存在感を増した。独自性を発揮するフランス保険企業のマーケティング戦略の動向を分析した結果,(1)顧客のさまざまな購買パターンに対応するために複数のチャネルを充実し併存させる「マルチチャネル」「マルチアクセス」化の流れの中でのインターネットの重要性,(2)ブランド戦略・コミュニケーション戦略の展開によって,依然としてフランスの保険企業は,強固なブランド・アイデンティティを構築していること,(3)顧客に対する利便性向上を主眼としたマーケティング戦略の有用性が再確認できた。