著者
難波 匡甫
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D2(土木史) (ISSN:21856532)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.50-60, 2013 (Released:2013-04-19)
参考文献数
32

地盤沈下を背景に,東京と大阪では防潮堤,防潮水門等による高潮対策が講じられてきた.東北地方太平洋沖地震以降は,津波への対応強化が進められている.また,東京や大阪では近年の水質改善等にともない,河川や臨海部での水辺利用による地域活性化が積極的に図られている. こうした新たな社会状況下において,今後の高潮対策では防潮方式の多角的かつ抜本的な検討が必要であると考える.東京と大阪では,高潮対策における防潮方式に違いがあり,東京では陸地を防潮堤で囲い込む「輪中方式」が,大阪では河川本川に大型防潮水門を設置する「防潮水門方式」がそれぞれ採用されている.本研究は,高潮対策事業の経緯等から東京と大阪における防潮方式に違いが生じた要因を探ることにより,今後の防潮方式の抜本的な検討に寄与することが目的である.