著者
霜川 修
出版者
長崎大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2008

本研究は,正常線維芽細胞のγ-線照射を行った後に細胞をクローニングして,個々の細胞のゲノム変化を定量化することを目的とした。正常男性ヒト線維芽細胞に4グレイのγ-線照射を行い限外希釈して再培養して,細胞クローン10個を得た。また,対照としてγ-線照射を行わないでクローニングした細胞クローン10個を得た。ゲノムコピー数の解析を行うためにaffymetrix社製のGeneChipシステムを用いて,γ-線非照射細胞クローンとγ-線照射細胞クローンを解析してゲノムの大きな構造変化数を比較した。結果,γ-線非照射細胞とγ-線照射細胞クローンの両方にコピー数変化をともなった大きな部位(>1Mb)を検出できたが,γ-線非照射細胞において明らかにコピー数変化部位数が増加している傾向は認められなかった。理由としては,実験に用いたクロンーン化細胞数が少ないことが挙げられるが,明瞭な差異を検出できないのであれば解析細胞数を増やすことは,研究費用内では無理であったので,次の実施計画に移った。DNAの塩基変異を検出して定量化することを試みた。方法は,正常男性ヒト線維芽細胞に4グレイのγ-線照射を行いそのまま10万個の細胞を1日培養して,DNAを抽出してPCR後にプラスミドヘクローニング後シークエンス解析を行い変異部位の数を数えてγ-線非照射群と比較するのである。現在,xxx遺伝子,yyy遺伝子,zzz遺伝子をhigh-fiedility Taq polymeraseで増幅しクローニング後のシーケンス解析を行っている。一遺伝子当たり,500bp/clone x800clone=400,000,のべ400kbを解析している最中である。