著者
露木 美幸
出版者
横断型基幹科学技術研究団体連合(横幹連合)
雑誌
横幹連合コンファレンス予稿集 第4回横幹連合コンファレンス
巻号頁・発行日
pp.54, 2011 (Released:2012-03-14)

企業において、包括的法務リスクマネジメントが企業価値を維持するうえで必要であることは言うまでもない。そして、企業、特に技術志向型企業においては、法務リスクマネジメントのうち知的財産侵害訴訟に関するリスクマネジメントシステムは、知的財産侵害訴訟自体が、技術志向型企業の製品そのものの製造、販売に直結する大問題と発展する可能性を秘めているため、その重要性は大きく、企業においては必須のリスクマネジメントとなる。わが国において知的財産権侵害訴訟は損害賠償請求訴訟、差止請求訴訟があげられるが、このうちの損害賠償請求訴訟にあっては民法709条と産業財産権にかかる法律の双方が適用されることになる。他方、そのリスクマネジメントの内容は具体的なものではない。本研究においては、企業がいかなるところまで他社の知的財産を調査していれば免責されるのか、または損害賠償を軽減することができるのかについて、調査義務の外縁と内包を研究することを目的とする。