著者
青塚 圭一
出版者
日本鳥学会
雑誌
日本鳥学会誌 (ISSN:0913400X)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.41-55, 2018 (Released:2018-05-11)
参考文献数
112

過去30年間における多くの鳥類化石の発見によって,鳥類はジュラ紀後期には出現し,白亜紀には世界全域に放散していたことが明らかになった.鳥類は飛翔能力の向上に伴い,尾端骨の形成,竜骨突起のある胸骨の発達,高度な翼の発達,そして歯の消失など,その骨格を変化させてきた.また,近年の研究により性戦略や成長形態など様々な生態的な発達があったことも明らかになってきている.中生代に無飛翔性の鳥類の多様性が乏しいことや新鳥類が大量絶滅事件(K-Pg境界)を生き延びた理由は未だ不明であるが,これらは環境面や生理面での制限による可能性がある.本稿では飛翔能力,内温性,そして消化器官の発達が鳥類の繁栄に影響を与えたものであると結論付ける.生理的な特徴は化石として残りにくいものであるが,新たな化石の発見や軟組織を復元するような研究が進むことで,絶滅した鳥類の詳しい生態が明らかになることを期待する.