- 著者
-
今間 俊博
青山 もも
斎藤 隆文
- 出版者
- 日本図学会
- 雑誌
- 図学研究 (ISSN:03875512)
- 巻号頁・発行日
- vol.46, no.2, pp.3-11, 2012 (Released:2017-08-01)
- 参考文献数
- 7
3次元 CG は,実写写真のようなフォトリアルな画像を生
成するために発達してきた技術である.一方,2次元のセル
アニメ調アニメーションの生成に用いられるトゥーンシェー
ディングは,3次元 CG の中の一手法ではあるが,フォトリ
アルな画像を生成するという本来の目的を軌道修正した事に
より,セルアニメ的な画像生成に一定の効果を上げている.
しかし,トゥーンシェーディングは,3次元 CG による元々
のシェーディングの目的とは異なる,ノンフォトな画像生成
を目的とするため,その生成結果の画像に様々な不都合を生
じる事がある.その中の1つの例が,光源によって生じる
キャラクタの影や陰影の形状である.セルアニメーションの
画像は制作効率の事を考慮するために,常にシンプルな形状
の影や陰影を適応している.しかし,トゥーンシェーディン
グによって生成される影や陰影は,モデルの形態によって
は,必ずしもシンプルな形状にはならない場合がある.本論
文の目的は,セルアニメのようなキャラクタを,トゥーン
シェディングを用いて描く際に,アニメーターはキャラクタ
に対して,どういった光源を設定したら良いのか最適解を求
める事である.実写撮影と同じ手法で,キャラクタに対して
ライティングを行い,その陰影がセルアニメにどれほど近づ
けるかについて試みた.そして,2灯のライトのみでセルア
ニメには不要な陰影を消し去る事に成功した.