著者
今間 俊博 斎藤 隆文 阿部 翔悟
出版者
Japan Society for Graphic Science
雑誌
図学研究 (ISSN:03875512)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.13-23, 2013-09-01
被引用文献数
2

本研究の最終目的は,労働集約型産業であるアニメーション制作の効率を上げ,映像としての作品の品質を向上させるために,作業のコンピュータ化を行う事である.これまでに,日本式アニメーションが持つ様々な要素を,モーションキャプチャと3DCGによって成立させるために,必要となる基礎的な研究を行って来た.その中で注目すべき点は,モーションキャプチャが捉える物理的な動きと,2次元セルアニメにおける視聴者への受け取られ方の問題がある.これは,物理的な真実である「リアル」と,人間が感じる真実味である「リアリティ」が必ずしも一致しない場合があるという問題でアニメーション制作において重要な要素のひとつである.さらに,映像上のリアリティを向上させるために施される,アニメーション映像における誇張表現の手法と適応度合い,および適用範囲についての取り組みとしての,モーションフィルター技術があげられる.また,現状のトゥーンシェーディングの品質と自由度の向上も重要な要素である. 本論文では,モーションキャプチャによって得られる動きをグループに分類分けし,各々の動きにおける誇張表現の方法と程度について,日本式2次元セルアニメに適用する方法を確定させる事を目的としている.
著者
今間 俊博 齋藤 隆文 神谷 由季
雑誌
研究報告グラフィクスとCAD(CG)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.2, pp.1-7, 2011-08-28

実写動画映像と比較して,アニメーションは元々動作における誇張・省略が多く,動きが記号化されている.キーフレームをそのまま補間して動画を作成する欧米のアニメと比較して,日本アニメには,動きの記号化傾向が顕著である.日本では,毎年多くの新作アニメが公開されている.その多くは手描きセル (タッチ) アニメであるが,3DCG 使用アニメの公開も増加している.しかし,記号化傾向が大きい日本のアニメは,動きに関しては 3DCG 化すると全く違ったテイストになってしまう.本論文は,それらの問題点と,解決法に対する取り組みである.It compares with the live action movie, as for the animation, there are originally much exaggeration and omission in case of operation and a movement is symbolized. The animation in the Europe and America does Key-Frame as directly to go to in-between and create the video. It compares with that and as for the Japanese anime, the symbolization tendency of the movement is remarkable. In Japan, a lot of new animation movie is made every year. The almost movie is cel anime by hand-drawing. The made on 3DCG animation, number is increasing. However, it has become a completely different taste when making anime in Japan with lot of symbolization tendency 3DCG about the movement. This paper is those problems and efforts to the approach.
著者
今間 俊博 近藤 邦雄 栗山 仁 古家 嘉之
出版者
日本図学会
雑誌
図学研究 (ISSN:03875512)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.3-10, 2005 (Released:2010-08-25)
参考文献数
7

物理法則に則ったコンピュータシミュレーションによって生成された物体運動は, しばしば観客にとって不自然なものに映ることがある.アニメーションの中で用いられる誇張表現は, 映像表現における演出的な効果を受け持つだけではなく, こうした観客の持つ違和感を打ち消すのに役立つ.こうした現象は, 物理法則的な物体運動と, 人間が知覚しうる物体運動の間に何かしらの差異があると考えることによってうまく説明できる.物理法則には必ずしも則っていないが, 人間がリアルに感じる動きのことを本研究では「メンタルモーション」と呼ぶこととした.本論文では, モーションキャプチャシステムを用いて得られた, 物理的に正確な動作を用いて, メンタルモーションを生成する動作誇張手法を提案する.
著者
今間 俊博
出版者
日本図学会
雑誌
図学研究 (ISSN:03875512)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.39-42, 2007

日本のアニメーションには, 米国アニメーションには無い「止め絵の美」が存在する.しかしMocapを利用したCGライブアニメーション制作は, アニメーション制作効率は高いが美しい止め絵を作るのが難しいという問題を内在している.また3DCGで制作したキャラクタには, 不気味の谷の問題があり, リアリティを追求し難いという問題がある.「FF THE MOVIE」「APPLE SEED」「VEXILLE」といった, 日本において制作された劇場公開アニメーション作品を通じて, 米国主導のCG技術開発とは違った, 映像表現技術の動向について過去の取り組みのまとめと今後の考察を行なった.
著者
今間 俊博
出版者
日本図学会
雑誌
図学研究 (ISSN:03875512)
巻号頁・発行日
vol.41, no.Supplement2, pp.39-42, 2007 (Released:2010-08-25)
参考文献数
3

日本のアニメーションには, 米国アニメーションには無い「止め絵の美」が存在する.しかしMocapを利用したCGライブアニメーション制作は, アニメーション制作効率は高いが美しい止め絵を作るのが難しいという問題を内在している.また3DCGで制作したキャラクタには, 不気味の谷の問題があり, リアリティを追求し難いという問題がある.「FF THE MOVIE」「APPLE SEED」「VEXILLE」といった, 日本において制作された劇場公開アニメーション作品を通じて, 米国主導のCG技術開発とは違った, 映像表現技術の動向について過去の取り組みのまとめと今後の考察を行なった.
著者
今間 俊博 斉藤 貴志 井草 拓
出版者
日本図学会
雑誌
図学研究 (ISSN:03875512)
巻号頁・発行日
vol.41, no.Supplement1, pp.199-202, 2007 (Released:2010-08-25)
参考文献数
3

人間の視感覚には, 「メンタルモーション」のように非線形の要素が存在し, そのためアニメーション映像の制作においては, 物体のパースペクティブや動作のタイミング, 加速度といったアニメーションを構成する各要素が意図的に誇張・変形される場合がある.これらの誇張・変形量については, 感覚的に理解させる事は出来ても, これまで論理的, 数値的に履修させる事は難しかった.本手法では, 既存の2次元アニメーション作品からアニメーションの動きデータを抽出し, その抽出データを用いて3次元アニメーションで同様なシーンを構成し, その比較を行っている.この手法によって, アニメーションの持つ独特な「動きの質感」を理解させるための教育的な試みを紹介する.
著者
高野裕基 斎藤隆文 今間俊博
雑誌
第74回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2012, no.1, pp.145-146, 2012-03-06

現在,セルアニメーションの制作の一部に3DCG技術が導入されている.しがしながら,3DCGは元々実写調の画像を生成するために発展してきた技術であるため,通常のシェーディングではセルアニメーションに適さない画像を生成する.3DCGからセルアニメーション風の陰影を生成するために,セルシェーディングが開発されたが,セルアニメーションの独特な質感を完全に表現することは困難である.そこで,本研究では,実際のセルアニメーション作品の調査,セルアニメーション作品と3DCGによって生成した画像と比較を行い,その違いについて考察を行う.これにより,3DCGにより,セルアニメーション風の陰影を生成する方法を模索する.
著者
今間 俊博 青山 もも 斎藤 隆文
出版者
日本図学会
雑誌
図学研究 (ISSN:03875512)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.3-11, 2012 (Released:2017-08-01)
参考文献数
7

3次元 CG は,実写写真のようなフォトリアルな画像を生 成するために発達してきた技術である.一方,2次元のセル アニメ調アニメーションの生成に用いられるトゥーンシェー ディングは,3次元 CG の中の一手法ではあるが,フォトリ アルな画像を生成するという本来の目的を軌道修正した事に より,セルアニメ的な画像生成に一定の効果を上げている. しかし,トゥーンシェーディングは,3次元 CG による元々 のシェーディングの目的とは異なる,ノンフォトな画像生成 を目的とするため,その生成結果の画像に様々な不都合を生 じる事がある.その中の1つの例が,光源によって生じる キャラクタの影や陰影の形状である.セルアニメーションの 画像は制作効率の事を考慮するために,常にシンプルな形状 の影や陰影を適応している.しかし,トゥーンシェーディン グによって生成される影や陰影は,モデルの形態によって は,必ずしもシンプルな形状にはならない場合がある.本論 文の目的は,セルアニメのようなキャラクタを,トゥーン シェディングを用いて描く際に,アニメーターはキャラクタ に対して,どういった光源を設定したら良いのか最適解を求 める事である.実写撮影と同じ手法で,キャラクタに対して ライティングを行い,その陰影がセルアニメにどれほど近づ けるかについて試みた.そして,2灯のライトのみでセルア ニメには不要な陰影を消し去る事に成功した.
著者
斎藤 隆文 吉田 典正 原田 利宣 今間 俊博
出版者
東京農工大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本研究では,CGや意匠デザインで用いる曲面形状を,鏡面・拡散反射による見栄えを包括的に考慮して生成・制御することを目的としたものである.鏡面反射による良好な映り込み形状を得るための,対数美的曲面の形状パラメータに関する知見を得るとともに,対話的制御法を提案した.また,より理想的な曲面集合として,完全対数美的曲面を提案した.アニメ調描画で用いる,拡散反射とセルシェーディングによる段階的陰影形状に関して,屈曲や波打ちの原因を明らかにし,滑らかで単純な陰影形状を得るための陰影付け方法を提案した.その他,見栄えを良くする形状処理技術に関して,種々の成果を得た.
著者
今間 俊博 近藤 邦雄
出版者
尚美学園大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

現状の制作環境を解析するために、これまでに制作されてきたセルアニメーションの解析を進めて行く中で、KEY POSEやACTION LINEなどを用いた新しいアニメーションの概念が形成されつつある。特にKIME POSEを有する日本独自のアニメーションの生成手法に着手した事は、今後の研究の進展が期待出来る