著者
作田 耕太郎 青木 哲平
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース 第131回日本森林学会大会
巻号頁・発行日
pp.370, 2020-05-25 (Released:2020-07-27)

根株移植は、土地開発や造成にともなって、通常は伐採・処分される樹木を断幹して残し、その根株を法面などの緑化対象地点に移植して萌芽による早期の緑化を期待する工法である。移植対象木が萌芽力に富む種に限られるといった制約があるものの、原植生を材料とし、また土木工事に使用する重機をそのまま活用できるという観点から、経済性や生物多様性など優れているとされる。しかしながら、移植後の根株の枯死や萌芽の発生状況については、施工後の管理や緑化の成否判定の上で重要と考えられるものの、ほとんど検証されていない。本研究では、九州大学伊都キャンパス内の根株移植地において、施工10年目の根株の生存状況や萌芽の発生状況について明らかにすることを目的とした。2009年に対象地に移植された根株148本のうち,10年目の2018年に生存していたのは86本であり、生存率は58.1%だった。常緑樹の生存率は61.8%だったのに対し落葉樹は52.5%とやや低い値を示した。以上の結果に加え、樹種ごとの萌芽発生状況などを解析し、根株移植に適する樹種や施工地の管理法などについて検討した。